Up 戸籍の終焉 : 要旨 作成: 2023-03-25
更新: 2023-03-25


    国は,天から降ってきたものではなく,ひとがこれをつくる。
    国が天から降ってきたもののように見えるのは,ひとは自分がつくった国から疎外されるからである。

    国は,員 (「国民」) を登録する。
    ひとは,登録に国の悪用を想ってこれを拒否したがるが,登録されなければ生きられない。
    国からの給付金でしのいでいる生活は,登録の賜である。


    日本の員登録のいまのシステムは,戸籍である。
    員の登録は,実は複雑で難しい。
    複雑で難しいので,いろいろな登録方法を変遷してきている。
    そしていま,戸籍制度を保っていけないステージに入ってきている。

    即ち,「戸主」を立てられなくなっているのである。
    「戸主」は,女が結婚して男の姓になり,そして男が女と子どもを扶養する,という形を想定する。
    この想定は,つぎの流れ (系の進化) によって,すっかり崩れた:
      • 女は男と同等に就労する
      • 離婚がふつうになる
      • 夫婦別姓
      • 同性婚

    そしてこうなると,子どもの親を定めることも,意味がなくなる。
    はじめから「個人」として登録する方が,すっきりする。
    保守を信条とする者は堪えられないだろうが,時代は実際このように推移しているのである。

      この時代に個人Aが個人Bの「配偶者」や「子」になる意味は何か?
      意味として残るのは,「Bの資産をAが相続するときの税率は,AがBの配偶者や子であると低くなる」だけである。


    個人登録制は,日本の場合はつぎの流れになる:
        家 → 戸 → 個人
    明治になって,家から戸に変わった。
    そしていま,戸から個人に変わろうとしている。

    どれほど意識されて導入されたかはともかく,「マイナンバー」の意味はこれである。
    戸籍制度は,個人登録制に変わっていく。
    反国家イデオロギーなどは「マイナンバー」を国が個人情報の利用を企むものだと定めるが,「マイナンバー」は個人登録制への移行なのである。