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放射性廃棄物について

放射性廃棄物とは

日本で発生する廃棄物の量

 原子力施設の運転・保守などに伴って発生する廃棄物のうち、放射性物質を扱っている区域から 出るさまざまな廃棄物を、「放射性廃棄物」として管理しています。放射性廃棄物は、放射線を出す放射性物質を含んでいるため、私たちの身体や環境に影響の ないように、厳しく管理する必要があります。
 放射性廃棄物は、他の廃棄物と比べて圧倒的に発生量が少ないのが特徴です。


発電所から出る放射性廃棄物(「低レベル放射性廃棄物」)

低レベル放射性廃棄物埋設センターの概念図

 原子力発電所で発生した放射性廃棄物(「低レベル放射性廃棄物」)は、含まれている放射性物質の種類や濃度により区分し、きちんと管理しています。
 低レベル放射性廃棄物は、発電所の運転中に発生する使用済みのペーパータオル、古い作業着や手袋、点検・補修時に発生する配管や炉内構造物などの金属類 などが相当します。このうち、紙や布など燃えるものは焼却し、金属など燃えないものは圧縮や溶融処理で容積を小さくし、また、液体状のものは濃縮したりし て容積を減らします。さらに、ドラム缶に詰め、必要に応じてアスファルトなどで固めて発電所内の貯蔵庫に安全に保管します。その後、青森県六ヶ所村の「低 レベル放射性廃棄物埋設センター」で地中に埋設処分され、人間の生活環境に影響を与えなくなるまで管理されます。
 なお、放射能レベルの比較的高い制御棒などは、発電所内の貯蔵プールで保管しています。

 これらの低レベル放射性廃棄物は、放射能レベル・含まれる放射性核種・性状などにより大きく4つに区分され、その区分ごとに定められた処理方策に従って埋設処理が行われます。


高レベル放射性廃棄物の処理・処分

 原子力発電所から発生する使用済燃料は、資源の有効活用のため再処理を行うこととしており、再処理施設で使用済燃料からまだ使えるウラン やプルトニウムを回収した後に残った「廃液」をガラスを混ぜて固化した「ガラス固化体」が、処分対象の「高レベル放射性廃棄物」となります。

高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター

 この固化体は、核分裂生成物を多く含んでおり、強い放射線と熱を出すため、再処理施設内の専用の貯蔵施設に30年から50年間程度冷却 のため貯蔵した後、地下300メートルより深い安定した深地層に処分する方針です。このため日本原子力研究開発機構(旧動燃)などにおいて、ガラス固化技 術と地層処分技術の研究開発が進められています。

 1991年度以降、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会において、処分対策の検討が行われ、1992年8月、その具体的対策の進め方 についてのビジョンが示されました。高レベル放射性廃棄物の最終処分を安全・確実に進めるため、2000年5月に成立した「特定放射性廃棄物の最終処分に 関する法律」に基づき、2000年10月に認可法人「原子力発電環境整備機構(原環機構/NUMO)」が設立され、2002年12月に全国の市町村を対象 とした「高レベル放射性廃棄物の最終処分施設の設置可能性を調査する区域」の公募を開始しました。
 「高レベル放射性廃棄物の最終処分施設の設置可能性を調査する区域」の公募にあたっては、「応募要領」と「処分場の概要」や「概要調査地区選定上の考慮事項」といった技術的説明書に加え、「地域共生への取り組み」という地域共生の資料も公開されています。

 詳しくは原子力発電環境整備機構(NUMO)のホームページ をご覧ください。
 ご意見の広場「高レベル放射性廃棄物・TRU廃棄物 リスクコミュニケーション広場」 もご覧ください。


地層処分の方法(「多重バリアシステム」)

 地層処分では、地下深くの安定した地層(天然バリア)に、複数の人工障壁(人工バリア)を組み合わせた「多重バリアシステム」を用いることにより、最終的にはモニタリングなどの人為的な管理を終了しても安全を確保できるようにしています。
 具体的には、ガラス固化体をさらにオーバーパックと呼ばれるぶ厚い鋼鉄の容器に封入したうえで、地下300メートル以深の安定した地層(天然バリア)に 埋めることを計画しています。さらに地中では、万が一にも放射性物質が外部に流れ出さないように、埋めた周囲にベントナイトという粘土に似た緩衝材(人工 バリア)を充填します。
 オーバーパックは、少なくとも1,000年は穴があかないように設計されます。万が一、オーバーパックに穴があき、ガラス固化体が地下水と接触しても、 ガラスは水に溶けにくい性質を持っているため、放射性物質は非常にゆっくりしか溶け出しません。溶け出した放射性物質の多くも、周囲に充填された緩衝材に 吸着されるなどして、その外側に漏れ出すことが防がれます。また、地下の深いところの岩石も放射性物質を吸着する性質を持っており、さらに地下水の動きも 非常に遅いため、もしも地下水に放射性物質が溶け出したとしても、それらは非常にゆっくりしか移動できなくなります。


クリアランスレベルとは

 原子力発電所を解体すると、大量のコンクリートが発生しますが、その大部分はクリアランスレベル以下なので、リサイクルできると考えられ ています。クリアランスレベルとは、その物質に起因する線量が、私たちが日常生活で受ける放射線よりもずっと少なく(年間0.01ミリシーベルト以下)、 放射線防護の観点から放射性物質として取り扱う必要がない放射能のレベルです。この値は、我が国を含め、ほとんどの国々で採用されており、各国では廃棄物 の発生量や利用方法の実情にあわせ、この線量基準からクリアランスレベルの値(Bq/g)を設定し検討を行っています。