Up 群体 colony 作成: 2022-02-22
更新: 2022-02-22


      岩波生物学辞典第4版「群体」
    分裂または出芽によって生じた新個体(母個体に対して娘個体とよぶ)が互いに体の一部分,または体から外方に分泌した構造(例えば殻)により連結されている場合に,この個体の集合.
    原生生物からホヤ類に至るまで多くの例がある.
    群体を形成する現象を群体形成(colony formation)とよぶ.
    これに対し,1個体が単独で生活する場合を単独生活的(monozoic)という.
    群体を構成する各個体(個虫)が原形質により連絡する場合は,全個体の間に栄養摂取,刺激に対する反応などについて有機的な関連があり,真の群体とよばれ,そのような関連がなく,殻などの非生活物質により接着・集合しているにすぎない場合は偽群体(pseudocolony,例:植物性鞭毛虫類のサヤツナギ)とよばれる.
    群体は外形に従って線状群体・樹状群体・球状群体・草状群体などが区別される.
    管クラゲ類では,1個の群体がさらにほぼ同様な個体の小群の連結体であり,この小群をとくに幹群とよぶ( →幹部).
    コケムシ類の群体にはzoariumまたはcoenoecium,ホヤ類や原生生物の群体は定数群体の名称がある..
    群体を構成する各個体は,その群体から離れても多少とも独立生活の能力があり,体節などとは異なっている.
    一つの群体を構成する個虫の間に,形態的・機能的に分化が認められるものを多型性群体とよび,ヒドロ虫類やコケムシ類などにその例が多い.