Up 命令中枢 (「脳」) 作成: 2018-04-30
更新: 2018-05-13


    動物を植物から区別するものは,文字通り<動く>である。
    この<動く>は,生物一般の<カラダのシフト>とは区別される。

    生物は,自己組織化する系である。
    生物一般の<カラダのシフト>は,<自己組織化>の一内容である。

    <動く>は,自己組織化のダイナミクスでは実現されない。
    <動く>を実現するのは,中枢からの命令である。
    翻って,動物とは,中枢の指揮系統をもつ生物種のことである。
    この「中枢」を「脳」と呼ぶ。
    よって,動物とは,脳をもつ生物のことである。
    ただし,<脳をもつ>は生物進化の中に現れてくるものであるから,これは<脳をもたない>から<明確に脳をもつ>までのグラデーションになる。

    脳の命令を以て動く動物は,定形になる。
    脳の命令は,組織の一定形を想定して成り立つものだからである。
     Cf.  コンピュータの機械プログラムは,ハードウェアの一定形を想定する。
    CPU やメモリ構成等々が不定のハードウェアに対し,プログラムは立たない。


    「動物」は,「多細胞動物の進化/系統」で考えることになる。
    生物学の知見は,つぎのようになっている:

( 和田・佐藤 (1993) : 科学 63(4))

    命令中枢 (「脳」) の出現は,進化の連続模様 (グラデーション) で考えるものになる。
    命令中枢が現れるのは「左右相称動物」の系統からである。
    クラゲ,イソギンチャクの食餌行為は,命令中枢が無い反応連鎖系であり,この点で,食虫植物が虫をとらえる動きと同じである。