- 理論
- CRISPR/Cas には type I、II、III があり,ゲノム編集で用いるのは type II。
- 要素
- crRNA (CRISPR RNA)
- tracrRNA (trans-activating RNA)
- RGN (RNA-guided nuclease)
- crRNA と tracrRNA は,つなげて用いる。
racrRNA-crRNAキメラ を,ガイドRNA (gRNA) または single RNA (sgRNA) と呼ぶ。
- RGN として,化膿レンサ球菌 (S. pyogenes) 由来の Cas9 ヌクレアーゼを用いる。
- ガイドRNA・Cas9 複合体は,PAM の前の 20塩基を標的化し,それが crRNA と相補的な配列ならば切断する。
切断個所は,PAM より3nt 上流。
PAM は「NGG」──ここで「N」は,AGTCのどれか (aNy)。
即ち,ガイドRNA・Cas9 複合体は,グアニンが2つ並ぶ配列を探す。
(PAM については, CRISPR)
Mali P, Yang L, Esvelt KM, Aach J, Guell M, DiCarlo JE, Norville JE, Church GM. :
RNA-Guided Human Genome Engineering via Cas9.
Science. 2013 Feb 15;339(6121) :
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- 手順
- 切断したいゲノムDNA と相補的な crRNA (CRISPR RNA) を作成する。
- crRNA に tracrRNA (trans-activating crRNA) をつなぐ。
- ガイドRNAと cas9 (ヌクレアーゼ) の複合体を作成。
- これを細胞の核内へ導入
- 複合体は,標的の配列を探す。
探し当てたら,その箇所でゲノムDNAを切断する。
- 切断は,細胞に DNA 修復を促す。
「修復」は,「非相同末端結合」がこれの形になる──末端の接合部において変異が起こる。
Doudna, J.A.『CRISPR──究極の遺伝子編集技術の発見』, p.131:
- 用途
- 遺伝子ノックアウト
- 遺伝子発現制御
CRISPR の切断機能を不活性化し,細胞内の特定の遺伝子にペイロード (遺伝子の発現方法に影響を与えるタンパク質分子) を送達
- 配列書き込み (「ゲノム編集」)
標的配列を含むドナーベクターを一緒にトランスフェクションすると,相同組換え (HDR) によりその配列をノックインすることができる
- CRISPR ツールボックス──CRISPR が組み込まれた人工染色体 (プラスミド)
- https://www.addgene.org/crispr/
- 問題:
- 参考ウェブサイト
- 参考文献
- 小林雅一『ゲノム編集とは何か──「DNAのメス」クリスパーの衝撃』, 講談社現代新書, 2016.
- Doudna, J.A., Stemberg, S.H. (2017) : A crack in creation ── Gene editing and the unthinkable power to control evolution.
- Houghton Mifflin Harcourt
- 櫻井祐子[訳]『CRISPR──究極の遺伝子編集技術の発見』, 文藝春秋, 2017.
- Knoepfler, P. (2016) : GMO Sapiens ── The life-changing science of designer babies.
- 中山潤一[訳]『デザイナー・ベビー ──ゲノム編集によって迫られる選択』, 丸善出版, 2017.
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