Up 系統分類の無理 作成: 2017-10-23
更新: 2017-10-23


    系統分類は,実際には無理である。
    分類のカテゴリーとして論理的に可能なのは,「種」のみである。


    つぎの系統樹を考える:

    系統樹は,「分岐の順番」を記している。
    ここで,「分岐の順番」を読むときは,注意を要する。
    いま,上の系統樹からA,B,Cの部分を抜き書きしてみる:
    この図は,《AとBの分岐があり,つぎにBとCの分岐があった》と読める。
    しかしこの図は,つぎのように,《AとCの分岐があり,つぎにCとBの分岐があった》と読める図に変形できる:
    これはもちろん,騙しである。
    「分岐の先後」については,曖昧さはない。
    実際,つぎのように<先祖>をきちんと書き入れることで,曖昧さは無くなる:
    即ち,《分岐点をはさんで同じ<先祖>が並ぶ方の系統は,分岐点を通過する直線で書く》を,系統樹記法の約束にすればよい。
    このとき,上の2つの図は,確かに一つの図になる:
    ──ここで例としている{A, B, C, D, E}系統樹は,この記法に従って書いたものであるとする。


    さて,「系統分類」は,分岐ごとに分類カテゴリーを設けるという方法になっている。
    これは,入れ籠型のカテゴリー構成であり,各カテゴリーの「近縁」はつぎの3通りで考えられることになる:
      1. 親カテゴリー (自分の一段上のカテゴリー)
      2. 子カテゴリー (自分の一段下のカテゴリー)
      3. 兄弟カテゴリー (親カテゴリーの子カテゴリー)

    しかしこの方法は,系統分類の伝統的な分類方法である「界・門・綱・目・科・属・種」とは,ズレたものになる。

    実際,上の{A, B, C, D, E}系統樹では,AとEは最も遠縁になる。
    しかし,Aに属する或る種aとEに属する或る種eが,伝統的な分類方法ではごく近縁になるということが,論理的に起こり得る。
    なぜなら,aからの先祖溯行とeからの先祖溯行は,形において違いはないからである:
        a → (先祖溯行) → ○
        e → (先祖溯行) → ○

    系統樹と系統分類のズレは,本質的なものである。
    系統樹は,系統分類にはならない。

    これは何を示しているかというと,系統分類とはもともとプラグマティックなものだということを示している。
    分類のカテゴリーとして立つものは,論理的には「種」のみであり,「種」より上位のカテゴリーは,便利のために導入されるものだということである。