Up 「酸性・アルカリ性」とは何か 作成: 2024-03-28
更新: 2024-03-28


    「酸性・アルカリ性」は,
      「水溶液が酸性」
      「水溶液がアルカリ性」
    のように使うことばである。

    土壌に対して 「酸性・アルカリ性」を言う。
    これは,土壌が含む水──様々な物質が溶けている水──の酸性・アルカリ性を指している。


    「酸性・アルカリ性」の概念の要点は,これが様々な物質が溶けている水の「酸性・アルカリ性」だということ。
    これが表すのは,<総合的傾向・程度>である。


    水溶液の酸性・アルカリ性を現しているものは,水素イオン H+ (オキソニウムイオン H3O+) と水酸化物イオン OH だと考えられている。
    水に溶けた物質には,水素イオンを出すものと,水酸化物イオンを出すものがある。
    水素イオンと水酸化物イオンのこの混合に対し,「水素イオン1個と水酸化物イオン1個が相殺」を仮定し,「どちらがどれだけ多いか」を主題にする。
    そして,水素イオンが多いことを酸性,水酸化物イオンが多いことをアルカリ性,と呼ぶことにする。


    酸性・アルカリ性は<総合的傾向・程度>であるから,<指標>という形で表現することになる。
    酸性・アルカリ性の<指標>は,昔はリトマス試験紙の色である。
    リトマス試験紙を浸して赤くなれば酸性,青くなればアルカリ性。
    赤が濃ければ強酸性で薄ければ弱酸性,青が濃ければ強アルカリ性で薄ければ弱アルカリ性。

    しかし「リトマス試験紙の色」は,大雑把に感じられる。
    研究者は,「水素イオンと水酸化物イオンのどちらがどれだけ多いかを定義式を以て数値で表す」を考える。
    こうして,「pH」が導入される。


    しかし定義式で計算するといっても,定義式の項目の値は,なにがしかの計器で測っているわけである。
    定義式は,結局は計器による操作的定義である。
    本質は,リトマス試験紙と変わらない。

    今日,リトマス試験紙は,小学校の理科で教材として僅かに残るのみ。
    仕事で pH を簡便に計るときは,デジタル体温計に似た pH 計が使われている。
    リトマス試験紙を製造している会社も,そのうち無くなるのかも。