Up 生成 作成: 2017-08-14
更新: 2017-08-14


    現前には,これに至った歴史がある。
    その歴史は,生成の歴史である。

    現前の複雑さは,生成の累積の結果である。
    現前の複雑さは,歴史の長さと対応している。

    現前の由来を知ることは,できない。
    実際,それは歴史を巻き戻すことであり,不可能なことである
    こうして現前は,複雑で不可知である。


    生成のメカニズムは,局所的なメカニズムである。 ──生成は,局所的生成の集合である。
    この局所的メカニズムは,単純であると見なすことになる。

    局所的メカニズムの僅かの違い,初期位相の僅かの違いは,生成されるものの大きな違いになる。 ──これが,「創発 emergence」「初期値鋭敏性」の意味である。
    こうして,現前はいよいよ不可知なものとなる。


    「局所的メカニズムからの生成」は,実際どんなふうか。
    これをうかがう方法が,「シミュレーション・ゲーム」である。
    ごく局所的な要素間ルールを立て,これから何が生成されてくるかを見る。
    「ライフゲーム」

    このゲームの主題化は,数学にもある。
    「微分方程式」である。


    シミュレーション・ゲームは,創発性・初期値鋭敏性のシミュレーションである。
    ところで,非線形微分方程式の解軌道表示は,まさにこのようになる。
    これの主題化が, 「カオス chaos」である。


    R.W. Emerson
      自然とは,数少ない法則が無限に組み合わされたり繰り返されたりしたものだ。 自然はおなじみのメロディーを,さまざまに曲調を変えて口ずさむ。