Up 免疫異常──アレルギー疾患・自己免疫疾患 作成: 2019-03-17
更新: 2019-03-17


    免疫担当細胞が,反応・攻撃する相手 (「抗原」) を間違える。
    ──花粉や自分自身の身体の一部を,抗原にしてしまう。

      藤田紘一郎 (2002), pp.212,213
    アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、花粉症といった、いわゆるアレルギー性疾患が日本に出現したのは、たかだか 30 年前のことだ。
    一方、日本人が現在のような「超清潔」な環境の中で生活しだしたのも、最近の 30 年というわずかな期間にすぎない。
    それまでは日本人は寄生虫とか、いろいろな細菌類とつき合っていた。
    寄生虫や共生菌まで排除するようになったのは、人類の歴史においてほんの短い、ここ 20〜30 年のできごとなのだ。
    私たちの体を構成している遺伝子は、一万年前とまったく変化していない。
    一万年前、私たちはジャングルの中で生活し、草原を走っていた。
    私たちは絶えず寄生虫や細菌などの微生物とつき合っていたのだ。
    私たちの免疫担当細胞のなかには、寄生虫がやってきたら「こんにちは」とあいさつをする細胞がおり、ウイルスがきたらお茶を出す細胞があり、細菌がきたらそれに応待する細胞がいる。
    一万年前と同じように、私たちの体の中には、今でもそれらの免疫担当細胞が存在している。
    しかし、私たちが身の回りの微生物をすべて排除してしまうと、これらの細胞は対応する相手を失い、「無職」になってしまったのだ。
    職を失った細胞ほどやっかいなものはない。
    これらの細胞は今度はあいさつをしなくてよいダニの死骸や花粉、ハウスダストなどにあいさつするようになって、アレルギー性疾患が出現したというわけだ。


    清益功浩 (2015), p.6
     「 B細胞が形質細胞に分化して,主にIgE を産生すれば,Ⅰ型アレルギー反応ですし,IgG,IgM を産生すれば,Ⅱ型,Ⅲ型アレルギー反応です.
    ヘルパーT細胞が細胞障害型T細胞に指令すれば,Ⅳ型アレルギー反応になります.」


  • 参考文献
    • 藤田紘一郎 (2002) :『バイ菌だって役に立つ──清潔好き日本人の勘違い』(講談社+α文庫), 講談社, 2002.
    • 清益功浩 (2015) :『小児アレルギー疾患診療ハンドブック』, 中外医学社, 2015.

  • 参考ウェブサイト