(1) 一つの電荷がつくる静電場
位置 \( \vec{a} \) に置かれた電荷 \( Q \) がつくる静電場は,つぎの関数になる:
\[ \phi \ :\ \vec{x} \,\longmapsto\, - \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{Q}{ | \vec{x} - \vec{a} | } \]
\( \phi (\vec{x}) \) は,「\( \vec{x} \) における静電ポテンシャル」と呼ばれる。
\( \vec{x} \) に電荷を置くと,力 (ベクトル) を生じる。
力の大きさは,電荷の大きさに比例する。
\( \vec{x} \) に単位電荷を置いたときに生じる力 \( \vec{E}(\vec{x}) \) は,\( - grad\, \phi (\vec{x}) \) である。
\( \vec{E}(\vec{x}) \) を「\( \vec{x} \) における電場」と呼ぶ。
(注意:「電場」のことばは,\( \phi \) と \( \vec{E} \) の両方に対して使われている。)
\( \vec{E}( \vec{x} ) \) は,つぎのようになる:
\[ \vec{E} (\vec{x}) \,=\, - \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{Q}{ | \vec{x} - \vec{a} |^2 } \vec{e}_{\vec{x} - \vec{a}}
\,\left( =\, \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{Q}{ | \vec{x} - \vec{a} | } \vec{e}_{\vec{a} - \vec{x}} \right) \]
静電場に対する「力ベクトル場」の見方は,関数 \( \vec{E} \) がこれに当たる。
(2) 複数の電荷がつくる静電場
静電場については,重ね合わせが成り立つ。
即ち,位置 \( \vec{a_i} \) に置かれた電荷 \( Q_i \) がつくる静電場を \( \phi_i \) とするとき,関数
\[ \phi \,=\,\sum_{i} \phi_i \ :\ \vec{x} \, \longmapsto\, \sum_{i} \phi_i (\vec{x})
\]
がそのまま,これらを合わせた静電場になる。
つまり,つぎが成り立つ:
( \( \phi \) での静電ポテンシャル) = \( \sum_{i} \phi_i \) での静電ポテンシャル)
\[ \phi (\vec{x}) \,=\, \sum_{i} \phi_i (\vec{x}) \]
( \( \phi \) での電場) = \( \sum_{i} \phi_i \) での電場)
\[ \vec{E}(\vec{x}) \,=\, \sum_{i} \vec{E}_i (\vec{x}) \]
ここで,\( \vec{E}(\vec{x}),\, \vec{E}_i (\vec{x}) \) は,それぞれ \( - grad\, \phi (\vec{x}),\, - grad\, \phi_i (\vec{x}) \)
(1) より,
\[ \phi (\vec{x})
\,=\, - \sum_{i} \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{ Q_i }{ | \vec{x} - \vec{a}_i | } \\
\vec{E}( \vec{x} )
\,=\, - \sum_{i} \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{ Q_i }{ | \vec{x} - \vec{a}_i |^2 } \vec{e}_{\vec{x} - \vec{a}_i}
\,\left( =\, \sum_{i} \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{ Q_i }{ | \vec{x} - \vec{a}_i |^2 } \vec{e}_{\vec{a}_i - \vec{x}} \right)
\]
(3) 連続した電荷がつくる静電場
空間の中の領域 \( V \) に,電荷が連続的に分布しており,位置 \( \vec{a} \in V \) における電荷密度 (単位体積当たりの電荷) が \( \rho (\vec{a}) \) であるとする。
このとき,つぎの関数 \( \phi \) が,これら電荷がつくる静電場になる:
\[ \phi \ :\ \vec{x} \, \longmapsto\, - \int_V \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{ \rho (\vec{a}) }{ | \vec{x} - \vec{a} | } \,d\vec{a}
\]
そして \( \vec{x} \) における電場 \( \vec{E}( \vec{x} ) \, ( \,=\, - grad\, \phi (\vec{x}) \,) \) は,つぎのようになる:
\[ \vec{E}( \vec{x} ) \,=\, - \int_V \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{ \rho (\vec{a}) }{ | \vec{x} - \vec{a} |^2 } \, \vec{e}_{\vec{x} - \vec{a}} \, d\vec{a}
\,\left( =\, \int_V \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{ \rho (\vec{a}) }{ | \vec{x} - \vec{a} |^2 } \, \vec{e}_{\vec{a} - \vec{x}} \,d\vec{a} \right)
\]
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