Up 「場」の定義──「ポテンシャル」の概念の導入 作成: 2017-11-21
更新: 2017-11-25


    記述の起点は,われわれが「現実的」と考えている空間──Uとする──である。
    この空間は,各点が座標 \( (x,\, y,\, z) \) で記述されるところの,3次元空間である。
    点をベクトルで表す: \( \vec{x} \,=\,(x,\, y,\, z) \)
    (「文字x」を二つの異なる意味で使い混乱を招く表記であるが,「簡便の都合」を優先してこの表記を用いる。)

    Uは,物がその置かれた場所に応じた力を受けるとする。
    このように考えた空間を,「力ベクトル場」と呼ぶ。

    力ベクトル場では,物の移動は「仕事」になる。
    仕事は,仕事量の大小が考えられる。
    さらに,「二点間の移動で要する仕事量」が考えられる。

    この概念を用いて,「点のポテンシャル」(場所の(くらい)) を考えられるようになる:
      「点Aから点Bへの移動に正の仕事量を要する」を以て,
      「AのポテンシャルよりBのポテンシャルの方が,この仕事量の分だけ高い」とする

    ただし,これが「ポテンシャル」の定義になるためには,つぎのことが成り立つのでなければならない:
      「任意の二点A,Bに対し,AからBへの移動の仕事量は,移動の経路に依らない」

    この条件が満たされ,「点のポテンシャル」の定義が成ったとする。
    このとき,空間の各点にそれのポテンシャルを対応させる関数φが,「場」の定義になる。