Up <経緯>のフロー・チャート 作成: 2016-08-28
更新: 2016-09-05


  1. 何でもあり
    1. 物理学の「正しい」「わかった (判明した)」は,「数学のことばで,つじつまを合わせられた」
      「数学のことばで,つじつまを合わせる」が目的になるので,何でもありになる。
    2. プラトニズム
        「つじつま合わせられた」を「正しい」「わかった」と同じにする思考回路は,プラトニズム
          言語写像論・数学写像論
          つじつま合わせを「つじつま合わせ」と思わない
    3. 要素還元主義
        要素還元の方向にリアルがあると思う
        要素還元を幻想構築と思わない
    4. プラトニズム・要素還元主義の思考回路は,<何でもあり>の展開を「発展」と称する
    5. <数学>を知らない,<構成>を知らない
      • 数学の使用に関しては,制限無し
        • 数学の使用において「使用条件」の意識がない──ご都合主義的数学使用
        • 「数学は絶対」の思い
      • 体系の論理的構成に無反省
          循環論法の意識がない
      • <数>を知らない
      • <次元>を知らない

  2. ガリレオの相対性原理
    1. 等速直線運動系と静止系は区別できない →「同じ」→「慣性系」
    2. ガリレオの相対性原理:《慣性系では,同じ力学法則が成り立つ》

  3. ニュートン力学
    1. 絶対空間・絶対時間
    2. 力=質量 × 加速度 (「運動方程式」)
      • 「力」: 物体の速度を変えるもの
      • 「質量」: 物体の動かしにくさ
    3. 「重力加速度」

  4. 万有引力の法則
    1. 落体の法則,慣性の法則
    2. 万有引力の法則
    3. 万有引力の法則 (公理) の含蓄 (定理/必要条件)
      • ケプラーの3法則,海王星の発見

  5. マクスウェルの方程式
    1. マクスウェルの方程式から「光の速度はすべての観測者に対して不変」が導かれる

  6. 特殊相対性理論
    • 観測者の速度によって,空間や時間は伸び縮みする
    1. 公理
      • 相対性原理
          慣性系では,すべての物理法則が,同じように成り立つ
      • 光速度不変の原理
          光速度は,観測者に依らず,一定
          二人の観測者の間の相対速度が一定のとき,光速度は両者に同じ
    2. 「特殊」の意味
        二人の観測者の間の相対速度が一定
    3. 特殊相対性理論 (公理) の含蓄 (定理/必要条件)
      • 光速に近い速さで進むと,時間の流れが遅くなり,長さが縮み (「ローレンツ収縮」),質量が増大する
          ローレンツ収縮の公式
          注意 :「質量の増大」
            「重さの増大」ではなく「質量 (動きにくさ) の増大」
      • 質量とエネルギーは同じもの
          E = mc2
    4. 探求ツール (思考実験ツール)
      • 「光時計」
    5. 証左
        水星の「近日点移動」
    6. 応用
      • GPS

     註 : 「光の速度はすべての観測者に対して不変」は,真理というものではなく,あくまでも公理 (「約束」)。
    「光の速度を不変のものとし,それ以外の時間と空間を相対的なものとしよう」という「約束」である。
      「光の速度は不変」を約束するとき,「光の速度が落ちる/上がる」は「距離の尺度が伸びる/縮む」「時間の尺度が縮む/伸びる」に
    「光の速度はすべての観測者に対して不変」が実験によって証されるということは,これが真理だということではない。 ──その実験は,<《実験は騙される》の実験>であってもよいわけであるから。
    要点は,この<騙し>には整合性がある・一貫性があるということである。
    実際,そうであるからこそ,特殊相対性理論に続く物理学の営みが成り立っているわけである。

  7. 一般相対性理論 (「重力の理論」)
    • 「一般」の意味
        「二人の観測者の間の相対速度が一定」(「特殊」の意味) の条件が外れる
    • 「質量によって空間がゆがむことで,重力が発生する」
        物体の質量によって,時空が曲がる
        時空の曲がりが,「重力」を現す:
          重力とは,時空の伸び縮み (波) によって物質間に伝わるもの (「重力波」)
    • 特殊相対性理論は,「運動」が「時空を変化させるもの」に
      一般相対性理論は,「重力」が「時空を変化させるもの」に
    1. 特殊相対性理論は,「重力」の問題を孕む:
        ニュートンの重力理論では,重力は一瞬で伝わるもの
        特殊相対性理論では,光の速度を超えて伝わるものは,あってはならない
        実際,「重力が一瞬で伝わる」は,時間の絶対的を含蓄する
    2. 公理
      • 等価原理 : 慣性力/加速度と重力は同じ (区別できない)
      • 重力の働き方 (「重力方程式」) は,どの観測者にも同じ
    3. アインシュタイン方程式
        時空の曲がり = 定数 × 物質とエネルギーの分布
    4. 公理/アインシュタイン方程式の含蓄 (定理/必要条件)
      • 「光は,重力によって曲がる」
          曲がった時空での<光の直進>は,曲進に見える
      • 「時間は,重力によって遅れる (ゆっくり流れる)」
          特殊相対性理論における「時間の遅れ」は,「相対速度が一定の二人の観測者」の間での "おたがいさま"
          一般相対性理論における「時間の遅れ」は,「重力が強い場所の方が,時間の流れが遅くなる」
      • 重力波
          時空の曲がりの変化は,「波」となって時空を伝わっていく
          その速度は,光速
      • ブラックホール
        • 光を飲み込む (「事象の地平面」)
        • 時間がほとんど止まる
        • 大きさの計算:「シュバツルシルト半径」
    5. 素材
      • ブラックホール
        • 「降着円盤からの光・X線放出」
      • 宇宙膨張
      • 重力レンズ
      • 重力波
    6. ツール
      • 思考実験 :「落下する箱」──重力が消される系
      • 重力波観測装置
          LIGO, KAGURA

  8. 量子力学/量子論──「ミクロの世界の法則」探求
    1. 素粒子物理学
    2. 「波と粒子の二面性」
    3. 「状態の共存」──「不確定性関係」
      • 「位置と運動量の不確定性関係」「エネルギーと時間の不確定性関係」
      • 「トンネル効果」
      • 真空から生まれては消える物質
    4. 「標準模型」
      • クウォーク
    5. ツール
      • 粒子加速器 as「顕微鏡」
        • LHC (Large Hadron Collider 大型ハドロン衝突型加速器)
        • 「顕微鏡」の理論的限界
            ブラックホールの発生
            観測対象が「事象の地平線」の向こうに隠れる
            但し,現前の LHC では遠く及ばないエネルギーレベルでの話

  9. 「くりこみ」
    1. 遠隔力─場─波
    2. 「遠隔力」は,ミクロ (距離の無限小化) では「無限大」の問題を発生
       →「くりこみ」の方便 (ミクロ・マクロの階層構造の応用) でしのぐ
    3. 「くりこみ」の方便の限界
        量子力学的なミクロの世界では,時空が量子力学の謂う「不確定性」になり,ゆらぐ
        「距離が測れない」ことは,「ミクロ」が立たないということ

  10. 宇宙論
    1. <何でもあり>の最前線が,宇宙論
    2. 素材
      • 「膨張する宇宙」
      • 「宇宙の晴れ上がりの痕跡/化石」
        • 宇宙マイクロ波背景放射 (CMB)
      • 「特異点定理」
      • 「ブラックホールの蒸発」
        • ホーキング放射
      • 「ミニブラックホール」
      • 「宇宙の組成」
        • 「ダークマター」
            「標準模型に含まれない未知の素粒子」
        • 「ダークエネルギー」
            「宇宙膨張の加速」の説明のために導入
    3. ツール
      • 一般相対性理論
      • 量子論
      • 数学
      • 宇宙望遠鏡
    4. ストーリー作成:「宇宙は無から誕生」
      • 「無/真空:<対生成・対消滅>の状態」
      • 「トンネル効果」
      • 「宇宙は虚数時間から始まった」
      • 「インフレーション」
        • 「宇宙は,誕生直後のひじょうに短い時間の間に,加速度的に膨張した」
      • 「ビッグバン」
      • 「宇宙の晴れ上がり」

  11. 統合理論
    1. 重力理論 (マクロの世界の法則) と量子力学 (ミクロの世界の法則)) の不整合/矛盾:
        「遠隔力」は,ミクロでは「無限大」の問題が発生
        重力理論と量子力学の矛盾は,「マクロの世界の法則」と「ミクロの世界の法則」の両方を用いる宇宙論において,切実な問題
        重力理論と量子力学の矛盾の止揚が必要
         →「統合理論」の課題化
    2. 「統合理論」の方針
      • 「量子重力理論」──相対性理論 (「重力の理論」) と量子論の融合
      • 「場の量子論」
      • 4つの力の統一
        • 「統一」の発想のロジック:
            <宇宙の誕生>の中に<4つの力の分離>がある
            4つの力は,もとは一つ
        • 「階層性問題」
      • 「究極の理論」(「万物の理論」)
    3. ゲージ原理
      • 一般相対性理論の重力方程式は,《空間や時間の測り方を変えても方程式の形は変わらない》という条件から決まる
          :「ゲージ原理によって形が決まっている」
        電磁気力のマクスウェル方程式も,ゲージ原理によって形が決まっている
      • ゲージ対称性
          「測り方を変えても性質が変わらない」は,「測り方を変えても」が「見方を変えても」に通じるので,「対称性がある」と言い換えられる
          「測り方を変えても」は「モノサシ (gauge) を変えても」なので,「ゲージ対称性」
    4. 余剰次元
      • 「次元を増やすことで力の統一がなる?」
          契機:「第5の次元を追加すれば,電磁気力も時空の曲がりとして説明できる」(テオドール・カルツァ)
      • 「次元を増やすことで無限大の回避がなる?」

  12. 超弦理論
    • 素粒子の姿を「点」ではなく「弦」にすると,「無限大」を回避できる
      すべての素粒子を一種類の弦で説明することができる
    1. 弦理論 → 超弦理論
        弦理論 : 素粒子のうちボゾンを説明 (フェルミオンが含まれていない)
        超弦理論 : フェルミオンが加わる
    2. 超空間, グラスマン数
        弦が普通の座標の方向に振動するとボゾンになり,グラスマン数のの座標の方向に振動するとフェルミオンになる
    3. 超対称性理論
        <超空間の超対称性>と<ボゾンとフェルミオンの間の入れ替え可能な対称性>が対応
    4. 10次元時空
      • 超弦理論を特殊相対性理論と整合させる上で,超弦理論において光子の質量が0であるようにしなければならない。
        10次元時空にすると,光子の質量を0にすることができる。
        やっていることは,<つじつまを合わせ>。
    5. 「余剰次元」の解釈 (<こじつけ>)
      • 「ブレーン」



  • CMB を「ビッグバン」の証拠とするロジック
    • <宇宙の全方向から一定波長の電波が来る>から<宇宙の温度>を考えることができる。
      実際,宇宙背景放射の波長から,その温度が導かれる。
      その温度は,絶対温度で2.7K──そこで,「3K放射」と呼ばれる。
    • 「ビッグバン」説では,宇宙の温度は「宇宙の晴れ上がり」時の温度がいまに続いている。
      ガモフは,この温度を 5〜7Kと計算。
    • これが3Kとよく合うとして,「ビッグバン」が証明されたとする。
    • ロジックの要点:《宇宙の温度 = CMB》