Up シュレーディンガー方程式 作成: 2020-01-13
更新: 2020-01-13


    ド・ブロイ波は,つぎの式で定義される: \[ E = h \, ν,  p = \frac {h} {\lambda} \] E, pは粒子のエネルギーと運動量,ν, λは波動の振動数と波長。

    ここにシュレーディンガーが,ド・ブロイ波がどんな関数 \[ \psi({\boldsymbol x}, t), \ \ \ {\boldsymbol x} = (x, y, z) \] かと考えた。
    そして,つぎの方程式 (「シュレーディンガー方程式」) を提起した: \[ \big( i \hbar \frac {\partial} {\partial t} \big) \, \psi = \big( \frac {1} {2m} \big( - \hbar^2 \frac {\partial^2}{\partial {\boldsymbol x}^2} \big) \big) \, \psi \]
    シュレーディンガーは,この式を形式感覚で導いた。
    即ち,通常の波動方程式 \[ \frac {1} {c^2} \frac{\partial^2} {\partial t^2} \psi = \frac {\partial^2}{\partial {\boldsymbol x}^2} \psi \] を,ド・ブロイ波の条件式と整合するようにいじって,上の方程式に至った。


    シュレーディンガー方程式は,有効なことがわかっていく。
    そしてこの成功により,受け入れられる。
    ただし,なぜうまくいくのかわからない。
    式の意味が,そもそもわからない。
    説明は,後からつくっていくものになる。

     註: 《形式感覚でやる》《意味は後になってわかる》は,数学や数理的な科学分野ではよくあることである。
    実際,形式感覚は,研究者の重要な能力である。


    量子力学は,シュレーディンガー方程式の含蓄の探求,応用領域の開発,の趣きになる。
    量子力学のテクストは「粒子と波動の二重性」の不可解を強調するが,量子力学の不可解はこれではない。 (これまで重ねて述べてきたように,「粒子と波動の二重性」は思い違いである。)
    量子力学の不可解,それは量子力学の根本である「シュレーディンガー方程式」の不可解である。