Up 「波動関数Ψ」の解釈の方向 作成: 2020-01-16
更新: 2020-01-16


    シュレーディンガーは,ド・ブロイ波がどんな関数 \[ \psi({\boldsymbol x}, t), \ \ \ {\boldsymbol x} = (x, y, z) \] かと考え,つぎの方程式 (「シュレーディンガー方程式」) を提起した: \[ \big( i \hbar \frac {\partial} {\partial t} \big) \, \psi = \big( \frac {1} {2m} \big( - \hbar^2 \frac {\partial^2}{\partial {\boldsymbol x}^2} \big) \big) \, \psi \] 関数 Ψ は「波動関数」と呼ばれる。
    これは,上の方程式の解であることから,複素関数になる。


    複素数は,平面ベクトルのスカラ (平面ベクトルに対する作用 operation) である。
    即ち,\( a + ib \) の形に表現したときは,ベクトルをx軸方向に \( a \) 倍,y軸方向に \( b \) 倍する作用。
    絶対値と偏角のペア \( (r, \theta) \) の形に表現したときは,ベクトルを \( r \) 倍して \( \theta \) 回転する作用。

    よって, Ψ は,各 \( ({\boldsymbol x}, t) \) に<平面ベクトルに対する作用>を一つ対応させる関数ということになる。
    Ψ の解釈を考えることは,<平面ベクトルに対する作用 \( \psi({\boldsymbol x}, t) \)>の解釈を考えることである。


    なお,波動関数 Ψ のグラフは,\(x, y, z, t \) の4次元と複素平面の2次元を合わせて,6次元になる。
    以下は,\( x, y, z \) を特定の値に固定して,3次元に表したものである:

    ひとが波のグラフとしてイメージするのは sin 波だが,Ψ はそのような波との単純な類比を許すものではない。
    よくよく吟味すべし。