Up 波動 作成: 2020-01-07
更新: 2020-01-07


    前進する大群衆の先に,壁が待ち構えている。
    その壁に,幅10メートルの通り口がある。
    直進のままこれを通れる者は,これを通って壁の向こう側に進む。

    このとき,壁の向こう側の人の流れは,つぎのようになる:

    つぎに,通り口が二つあったとする。
    このときの人の流れはどうなるか?
    二つの通路から出た二つの流れが干渉し合い,つぎのようになる:

    これは,ほんとうの話ではない。
    これは,アナロジー/パロディーである。
    アナロジー/パロディーのもとは,光子を対象にした「ヤングの実験」および電子を対象にした「トムソンとデイヴィソンの実験」である。

    この話の趣旨は,《群集の運動の捉えは,「波動」の見方がうまくいくかも知れない》である。
    このとき,個の分布の粗密パターンに,波形が対応する。──粗は波の「低い」ところ,密は「高い」ところ。
    また,同じ粗密パターンでも濃さの違いを考えることができるが,これには波の振動数/波長が対応する。

    なお,「波動」とは,《個が近接の個の動きに連動する》のダイナミクスが現すものを謂う。
    上の例では,壁の向こうの群集の形が定常だが,それは《個が近接の個の動きに連動する》のダイナミクスが現しているものであり,波動である。