Up 「熱エネルギー」の概念の意義 作成: 2023-02-23
更新: 2023-02-22


    「熱エネルギー」は,「系の熱エネルギー」として,つぎの内容で定義される:
      系のエネルギーは,<熱エネルギーがゼロ>から<熱エネルギーがすべて>までである。
      熱エネルギーでないエネルギーは,熱エネルギーに変わり得る。
      一方,熱エネルギーは,エネルギーの最終形である。
      こうして系のエネルギーは,不可逆的に熱エネルギーの部分を増やしていく。

    熱エネルギーの意味は,「仕事をしないエネルギー」である。
    「仕事をしないエネルギー」のココロは,「一旦熱になってしまったら,エネルギーとして回収できない」である。

    「熱量」のことばが,仕事量の意味で使われている。
    「熱エネルギー」と「熱量」は,ことばの見かけと違って,意味は正反対である。


    「熱エネルギー」の概念の意義は,仕事系に「寿命」の概念を取り入れたことである。

    古典力学では,仕事は「タダ」のものであった。
    エネルギーは<移り変わる>というものであって,エネルギーの全体量は不変である (「エネルギー保存則」)。

    これに対し,「熱エネルギー」の概念はつぎのように説くのである:
     《 仕事をすると体温が上がるが,その体温は真に「エネルギーの消費」であり,エネルギーの減少である》


    「熱エネルギー」のことばは,「エネルギーの減少」というネガティブな言い方を,「熱エネルギーの増加」というポジディブナ言い方に変えたものである。
    ここに,熱力学の謂う「内部エネルギー」とは異なる意味の「内部エネルギー」,古典力学の謂う「エネルギー保存則」とは異なる意味の「エネルギー保存則」が立つ:
        《 内部エネルギー = 非熱エネルギー + 熱エネルギー 》

    特に,「熱エネルギー」は終末論である。
    実際,「仕事エネルギー (非熱エネルギー) は,熱エネルギー (非仕事エネルギー) に変わる」「熱エネルギーは,エネルギーの最終形態」から導かれるのは,仕事系の終末である。