Up | ウイルス内在化 | 作成: 2021-06-02 更新: 2021-06-02 |
この主題は,「遺伝子のウイルス取り込み」である。 これまでよく研究されてきたのは,「レトロウィルス」と呼ばれる群のウイルスである。 これは,核酸 (NA) が一本鎖RNAのプラス鎖であり,逆転写酵素を持つ。 そして,つぎのメカニズムで,宿主の DNA に取り込まれる:
ただしこれだけだと,宿主細胞が壊れたとき,DNAに取り込んだウイルスも無くなる。 しかし,取り込みが幹細胞で起きたときは,細胞分裂でウイルスが生産される。 これをウイルスの「内在化 endogenization」という。 その細胞がさらに生殖細胞であれば,ウイルスのコードを遺伝された子は,全細胞で DNA にウィルスを含む。 これを「垂直感染」と謂う。 以降,垂直感染が子孫に拡散する そこで,ヒトの遺伝子はどのくらいレトロウィルスを取り込んできたか,という話になる。 これについては,たとえばつぎのように説かれている:
「一本鎖RNA プラス鎖」のレトロウイルスに対しては「一本鎖RNA マイナス鎖」のウイルスがあり,これは「ボルナウイルス」と呼ばれる。 このボルナウイルスについても,遺伝子への取り込みが報告されている (Horie et al., 2010)。 しかもこれは,逆転写酵素を持たないRNAウイルスの例になっている。 ではそれはどのように DNA に挿入されるのかとなるが,宿主のレトロトランスポゾンが利用されるという。
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