Up 睡眠の意味 作成: 2023-04-10
更新: 2023-04-10


    春は,草木が芽吹き,緑が日に日に増す時節である。
    この「日に日に増す」だが,観察していると,どうも「夜な夜な増す」のようなのだ。
    錯覚であることを疑って改めて観察しても,この思いを強くする。

    ここで連想してしまうのが,「寝る子は育つ」。
    これは言い換えると,「寝ないと育たない」。

    つまり,こういうことのようである。
    <起きている>は,滋養をとるステージ。
    <寝ている>は,起きているときにとった滋養で,大きくなるステージ。
    生物の進化は,昼夜の存在を効率的に使う形として,<滋養をとる>と<大きくなる>を並行させるではなく,二つを大きく分けることを選択したというわけである。


    ひとは,睡眠を休息だと思っているので,睡眠時間を削って仕事したことを,得したと思う。
    しかしこれは,大きくなる時間を削っているわけである。

    実際,ひとはつぎのことを経験している:
      煮詰まったときは,寝る。
      そして朝起きると,解決の方向が見える。
    睡眠して大きくなったわけである。


    ここで「大きくなる」のことばを,通常の使い方からズラして使っていることに注意。
    草本の場合,ひとは「大きくなる」を「伸びる・広がる」の意味で使うが,昼 (光合成を行う時間) のそれは「背伸び」に相当する。
    背伸びの伸長を確保するには,伸びて疎になった分を埋めねばならない。
    この「埋める」をしつつさらに伸びるのが,夜 (光合成ができない時間) ということになる。
    昼の伸びると夜の伸びるは,意味合いが異なるというわけである。

    「伸びる・広がる」は,「大きくなる」の一部である。
    見えない「大きくなる」に思いを致すべし。