シュレーディンガー方程式は,1次元空間だと
\[
\big(
i \hbar \frac {\partial} {\partial t}
\big)
\, \psi
=
\big(
\frac {1} {2m}
\big(
- \hbar^2 \frac {\partial^2}{\partial x^2}
\big)
\big)
\, \psi
\]
3次元空間だと:
\[
\big(
i \hbar \frac {\partial} {\partial t}
\big)
\, \psi
=
\big(
\frac {1} {2m}
\big(
- \hbar^2
\big(
\frac {\partial^2}{\partial x^2}
+ \frac {\partial^2}{\partial y^2}
+ \frac {\partial^2}{\partial z^2}
\big)
\big)
\big)
\, \psi
\]
ここで,
\[
\hbar = \frac{ h }{ 2 \pi }
\]
シュレーディンガー方程式には,\( {\it i} \) が含まれている。
複素数のことを「虚の数──2次方程式がつねに解をもてるよう無理やり導入した数」と学校で教えられた者は,この \( {\it i} \) に躓くことになる。
「数」は,「ベクトルのスカラー」がこれの意味である:
直線ベクトルのスカラーが,実数
平面ベクトルのスカラーが,複素数
空間ベクトルのスカラーが,四元数
──といったぐあい。
そこで,シュレーディンガー方程式の \( {\it i} \) は,探究の対象に潜在する2次元実ベクトル空間構造を示唆していることになる。
実際,1次元空間におけるシュレーディンガー方程式は,「波動関数」の形の
\[
\begin{align}
\psi (x, t)
& = cos \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big)
+ i \, sin \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big) \\
& = e^{ i\ \frac { 2 \pi }{ h }\ ( p x - E t ) } \\
\end{align}
\]
が \( \psi \) の最も簡単な解になるのであるが,これは
\[
\qquad
\frac { 2 \pi }{ h }\ ( p x - E t )\ \;[ラジアン]
\]
の回転である。
\( \psi \) に対しては,ボルンの「<存在確率>密度」解釈が成り立つ:
1次元空間
\( t \) を固定したとき,\( x \) の近傍の微小長さ (線分) \( dx \) 内に粒子が見出される確率は
\( | \psi (x, t) |^2 \; dx \)
3次元空間
\( t \) を固定したとき,\( (x, y, z) \) の近傍の微小体積 (直方体) \( dV = dx \,dy \,dz \) 内に粒子が見出される確率は
\( | \psi (x, y, z, t) |^2 \; dx \,dy \,dz \)
波動関数
\[
\psi (x, t)
=
cos \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big)
+
i \, sin \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big)
\]
は1次元空間の場合であり,<存在確率>密度はつねに1である:
\[
\quad | \psi (x, t) |^2 = 1
\]
そこで波動関数 \( \psi \) に対する見方であるが,これは<存在位相>ということになる。
──絶対値2乗が<存在確率>密度になるところの,<存在位相>。
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