Up 「波」の教材 作成: 2017-10-27
更新: 2019-06-11


    学校理科の「波」は,「縦波・横波」「振動」のはなしであって,このとき縦波はバネ,横波は水面をそれぞれ例にする。
    しかし,これでは,生徒は「波」が何かわからない。
    肝心の「波」の意義,波のしくみを先ず教えるものになっていない──結局最後まで曖昧なまま放っておかれる──からである。

      学校の教科教育は全般にこれである。
      こうなるのは,ひとはもともと「何?」の問いを立てるようにはできていないからである。
      わたしがよく知る教科教育は数学教育であるが,教員は「何?」の問いをもっていない。 授業は,<何>のない<いかに>を教えることで終始する。

    「波」の意義,波のしくみ──<隣につられる>の伝播──の教材は,スポーツ観戦の客席で起こるウェーブが最良である。
    「最良」の理由は,<離散>である。
    バネや水面の波は<連続>なので,はじめに用いる素材とはならない。

      <連続>は,<離散>の極限として理解できるものである。
      数学は,この方法を確立している。
      実数の連続は,自然数の離散から始めて,段階的に構築される (「数の構成」)。
      曲線には,折れ線の極限を見る。──例えば円は,正多角形の極限。