Up 紙コンポストの土壌学 作成: 2025-03-29
更新: 2025-03-29


    現代の生活は,紙ゴミが多く出る。
    うちの場合,(かさ)が大きいのが新聞紙と段ボール。

    紙ゴミは,本体がセルロースだから,土に埋めれば「土壌有機物」。
    土壌生物の体を経て,土になる。,
    というわけで,土に埋めない手は無い。


    しかし,埋めてすぐに土になるわけではない。
    特に,わたしの住む北海道は,不利である。
    土壌生物は,寒冷下では不活発になるからである。
    11, 12, 1, 2, 3月の5か月は,分解が進まない。。

    そこで,埋めた紙が腐植になるまでの時間を,1年くらいと見込んでみる。
    紙ゴミは,1か月ためて,土に埋めることにする。
    その嵩は,タテヨコ 25 x 35, タカサ 30〜35 cm の箱に,ほぼおさまる。
    よって,このサイズの穴を掘って埋める。
    そして,掘った土をこの上に戻す──グラウンドカバーも元通りに。
    掘る場所をずらしながらこれを12回やれば,1年で1巡する。

    まあ理屈はこうだが,北海道は 12月から3月上旬くらいまでは,土が凍って掘れない。この期間は落葉の下に潜らせるみたいなやり方で過ごす。
    実際どうなるかは,やってみなければならない。
    実行するまでである。


    紙ゴミが速やかに分解されるかどうかは,分解者である土壌生物がどれほどいるかに懸かっている。
    少なければ分解は遅い。

    紙ゴミの投入は,土壌生物にとって大量の餌が投入されることである。
    よってどんどん繁殖しそうだが,そうはならない。
    紙を餌にするだけでは,体はつくられないからである。


    ネックになるのが,タンパク質等の材料になる窒素 N の摂取。
    紙は,炭素 C に対し N が少ない。
    紙を餌にして増殖するためには,N を他から摂取せねばならない。

    土壌学では,これは「C/N 比」の主題になる。
    簡単のため,テキトーな数値で雑に説明するならば:
      紙ゴミの C/N 比は 100 ── C 100 に対し N 1。
      分解者の体の C/N 比は 10 ── C 10 に対し N 1。
      分解者は,紙ゴミから摂取した C の半分をエネルギーに使い,残り半分を体づくりに使う。
      分解者は,紙ゴミから摂取した N のすべてを,体づくりに使う。
      このとき,C が100 g 分解されることは,50gの C と 1 g の N が分解者の体づくりに使われること。
      50g の C を分解者が体づくりに使うことは,5 g の N を分解者が体づくりに使うこと。
      分解者が紙ゴミから摂取した N は 1 g だったので,分解者は N 4 g を他から摂取しなければならない。


    こうして,紙コンポストの運用課題は,土壌に N を増やすことである。
    では,どうやって?

    土壌の N の自然な増加のメカニズムは, 「窒素固定」である:
      大気の窒素 N2 が,土壌生物の体内ないし土壌に,窒素化合物の形で固定される。
    これを実現するのは,土壌生物のうちの窒素固定生物である。
    細菌やアーキアの中に,このようなものがいる。

    よって,紙コンポストが軌道にのるのは,窒素固定微生物が土壌に十分備わってからである。
    これは,待つしか無い。
    そして,待てば成る。
    窒素固定微生物の増殖に必要な C の方は,紙ゴミによって,足りているからである。