地表を雑草で敷き詰めようして,雑草を伸び放題にする。
この方法はうまくいかない。
成長が停滞してしまうのである。
雑草も人と同じで,ラクしてゴールに到達できればそれが最良。
ゴールは,種をつくってばらまくこと。
だまってこれが成るなら,余計なエネルギーは使わない。
「余計なエネルギーは使わない」──これを "Conservation of resources theory" (資源保存理論) と謂う。,
そこで,雑草を盛んに成長させる方法は,ゴールを取り上げること。
即ち,伸びたら刈る。
これにより,ゴールに向かってひたすらがんばる体勢が,雑草の常態になる。
しかも,刈る度にひこばえが生じ,草の密度が増す。
但しこれは,雑草間の淘汰を進める。
優勢になるのは,クローバーや芝草 (イネ科の雑草)。
越年葉がロゼット様に地面を這う種──キク科の雑草がこの代表──は,淘汰される。
周りの草に埋没するからである。
実際,この類の雑草の繁栄は,地面を絶えず裸にしてくれる人間のおかげである。
クローバーと芝草の混生は,北海道の場合,芝草が優勢になる。
芝草はクローバーより寒冷に強いので,冬の間にクローバーをのしていく。
そして芝草は地上部も地下部も高密度に栄養繁殖するので,一旦芝草に占められると,他の種にとってそこに割って入るのは容易でない。
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Brown (2018), pp.69,70.
ニコルズ博士はこう説明している──
「動物が食むことで、植物は栄養成長相と言われる発育過程にとどまり、光合成で生成された炭素は長く地中にとどまることになる。
この状態が続かなければ、植物は炭素を呼び戻し、種子の生成などに使ってしまう。
また、動物が食むことで、根の滲出物 (炭素) の分泌がうながされる。
動物が噛んだ場所は生理的に "傷" と認識され、人間の体にかさぶたができるような "治癒のプロセス" をたどるからだ。
治癒に必要となる養分を土から集めるため、植物は根から滲出物を出し、炭素を求める微生物を引き寄せようとする。」
ニコルズ博士によれば、これは望ましいレベルのストレスで、こうしたストレスなくしては植物は "怠けてしまい"、養分を得るためにきちんと働こうとしない。
科学用語ではこれを「資源保存理論 (COR理論)」と言い、「いかなる生命体も必要な分以上には何も創り出さない」。
植物はつねに "均衡" に向かう。
よって、ストレスが加わることで最大のパフォーマンスが発揮されるのだ (ただしストレス過多はよくない)。
言うなれば、オリンピックに向けたトレーニングのようなもの。
体は適度な負荷なくしてはよい状態に達しない。
植物もより多くの養分を得るには、それなりの働きがいる。
そのカギとなるのが家畜なのだ。
対する慣行農業のなかでは、植物は養分を得るために働く必要がない。
私たちが大枚はたいて買い与えた化学肥料を、ただで受け取ってしまえるからだ。
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- 引用文献
- Brown, Gabe (2018) : Dirt to Soil ─ One Family's Journey into Regenerative Agriculture
- Charles Green Publishing Co., 2018
- 服部雄一郎 [訳]『土を育てる──自然をよみがえらせる土壌革命』, NHK出版, 2022
- 参考Webサイト
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