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和田信一郎『土壌学』, 15. ⼟の劣化と修復, p.256.
⼤気汚染や⽔質汚濁を規制するための法律は,1970 年代に成⽴施⼯されたのに⽐較すると,⼟壌汚染に関する法律の整備は⾮常に遅い.
これは,⼟壌とい対象の特殊性によるものである.
[大気・水と比べて土壌が] 最も⼤きく異なるのは移動性である.‥‥‥
移動性の低さの故に,⼟壌は⼤気や⽔とは異なって公共財ではない.
⼤気に私有権が及ばないのは明らかである.
⽔の場合には⼤気とはやや事情が異なる⾯もあるが,地球上の海⽔,および河川⽔,地下⽔などの地下⽔の⼤部分は⼤気と同様に公共財である.‥‥‥
これに対して⼟壌は,⼟地の表層部を構成する物質集合体に対する総称であり,⼟地の⼀部をなす構成要素として明らかに所有の対象である.
私有財の汚染は,それが第3者に対して何らかの被害を引き起こさない限り,公的な規制の対象とはなりにくい.
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