Up 他人事 作成: 2024-03-22
更新: 2024-03-22


      和田信一郎『土壌学』, 15. ⼟の劣化と修復, p.256.
    ⼤気汚染や⽔質汚濁を規制するための法律は,1970 年代に成⽴施⼯されたのに⽐較すると,⼟壌汚染に関する法律の整備は⾮常に遅い.
    これは,⼟壌とい対象の特殊性によるものである.
    [大気・水と比べて土壌が] 最も⼤きく異なるのは移動性である.‥‥‥
    移動性の低さの故に,⼟壌は⼤気や⽔とは異なって公共財ではない.
    ⼤気に私有権が及ばないのは明らかである.
    ⽔の場合には⼤気とはやや事情が異なる⾯もあるが,地球上の海⽔,および河川⽔,地下⽔などの地下⽔の⼤部分は⼤気と同様に公共財である.‥‥‥
    これに対して⼟壌は,⼟地の表層部を構成する物質集合体に対する総称であり,⼟地の⼀部をなす構成要素として明らかに所有の対象である.
    私有財の汚染は,それが第3者に対して何らかの被害を引き起こさない限り,公的な規制の対象とはなりにくい.