Up 地下水面 作成: 2024-03-22
更新: 2024-03-22


    地下⽔⾯の位置を基準にした⼟の区分
和田信一郎『土壌学』, 14. ⽔⽥の⼟, p.230.

     
    泥炭⼟と⿊泥⼟は地下⽔⾯が地表よりもやや⾼いところで⽣成する.
    泥炭⼟と⿊泥⼟は有機物含量が20%を超えるような有機質⼟であるが,
    泥炭⼟はミズゴケなどの⽣物遺体が識別できるような⼟,
    それに対して⿊泥⼟は⿊⾊味がより強く,植物遺体であることが識別できないような⼟である.
    グライ⼟は,地下⽔⾯が地表⾯よりも低いが,地下⽔の⽑管上昇のため地表近くまで液相率が⾼く,<酸素の供給不⾜のため酸化鉄鉱物や⽔酸化鉄鉱物の3 価の鉄を電⼦受容体として利⽤する微⽣物>の活動が優勢になるため,2 価鉄が⽣成され,⼟の断⾯全体が灰⾊を呈するような⼟である.
    灰⾊低地⼟は,地下⽔位はグライ⼟よりもやや低いものの,⼟が細粒であるため,湛⽔期間中は全層が⽔飽和に近い状態になり,グライ⼟に類似した灰⾊を呈する.
    褐⾊低地⼟は,地下⽔位がさらに低く⽐較的粗粒の⼟であるため,本来湛⽔することはないが,[ 水田をつくるため] ⼈⼯的に下層⼟を圧密して湛⽔するようにした⼟である.
    褐⾊低地⼟は,湛⽔期間中でも⽔飽和されるのは作⼟層だけであり,下層⼟には酸素が存在する.
    このため,作⼟層で⽣成した2 価鉄イオンが下層に移動して酸化され,酸化鉄,⽔酸化鉄として沈殿する結果,作⼟層は灰⾊,下層⼟は褐⾊を呈する.