養分摂取
- 土壌微生物の働き
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横山 (2015), p.50.
肥沃な土壌1 グラムには数千種,数億個の微生物(バクテリア,アーキア,真菌など)が存在しているといわれる(西尾, 1989 など).
これらの微生物は動物にはない多様な代謝反応を駆使することで,有機物分解の機能や環境保全能を土壌システムに発現させている.
微生物は酵素反応で反応を進行させるため,反応速度が無機的な反応と比べてきわめて大きい.
このため微生物は土壌中で起きる物質循環へ大きな影響を与えると考えられている.
例えば,微生物による鉄(Fe)やマンガン(Mn)などの土壌主要金属の酸化反応速度は無菌状態の数十倍 数万倍に達することが知られる(Olson, 1991; Vera etal., 2009).
また,微生物によって生成された二次鉱物は,無機合成鉱物に比べて微小な粒径のナノ鉱物になりやすい.
ナノ鉱物は高い物質吸着能をもち反応場として機能するため,様々な物質の環境動態に影響を与える鉱物となり得る(Hochella et al., 2008).
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- 炭素循環
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和田信一郎『土壌学』, 12.3.1. 炭素循環, p.205.
森林は光合成によって有機物を生産するが,そのための二酸化炭素は大気から吸収する.
地上部で合成された有機物の一部は地下部に送られ,根の成長や更新に利用される.
樹木の葉や枝は,更新にともなって落葉・落枝となり地表に落下する.
また,根も新しい根の伸長にともなって古い根の一部は枯死する.
落葉・落枝や枯死した植物根は,土壌動物や微生物によって利用されるが,その過程で一部は腐植物質となり,一部はそれらの生物の呼吸の基質として利用され二酸化炭素が発生する.
土の表面から発生する二酸化炭素は,
土壌生物の呼吸によるものと
植物根の呼吸によるもの
からなる.
これらを個別に定量することは難しいので,併せて土壌呼吸とよばれる.
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気温が高い [低い]
→ 植物の活性が高い [低い]
→ A. 植物の光合成による二酸化炭の吸収量が多い [少ない]
→ B. I植物の呼吸による二酸化炭素の放出量が多い [少ない]
→ C. 落葉・落枝量が多い [少ない]
→ 土壌生物の活性が高い [低い]
→ C1. 土壌生物の呼吸による二酸化炭素の放出量が多い [少ない]
- 窒素循環
- カルシウム,マグネシウム,カリウム,リン等の循環
- 引用文献
- 和田信一郎『土壌学』
- 光延聖 (2019) : 直接分析から土壌や堆積物の微生物– 元素– 鉱物相互作用を観察する
J. Jpn. Soc. Soil Phys., No.141, 2019, p.49-55
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