新聞のいまの発行部数は,読売・朝日・毎日・日経・産経5紙の ABC部数(註1) で見て,つぎのような具合である:
年・月 |
読売 |
朝日 |
毎日 |
日経 |
産経 |
計 |
2000年 |
10,224,066 |
8,322,046 |
3,976,357 |
3,044,214 |
1,997,702 |
27,564,385 |
2010年 |
10,016,735 |
7,955,595 |
3,593,867 |
3,032,703 |
1,633,219 |
26,232,119 |
2020年 |
7,762,303 |
5,214,288 |
2,300,248 |
2,210,304 |
1,342,488 |
18,829,631 |
2023年7月 |
6,295,920 |
3,636,675 |
1,659,153 |
1,473,712 |
951,020 |
14,016,480 |
2024年2月 |
6,005,138 |
3,464,818 |
1,573,540 |
1,392,894 |
871,112 |
13,307,502 |
発行部数計が,2023年7月から 2024年2月までの7か月間で,70万8978人の減少。
これは,年間 121万5400人減少のペース。
2023年の死亡数が 159万5000人 なので,高齢者の死亡と新聞発行部数減少が直結する格好である(註2) 。
実際,若者は新聞から離れている。
新聞社は,リストラが目前になっている。
なにぶん減少速度が, 「この先20年の間に発行部数が0になる」という速度だからである。
註1.「ABC部数」とは
ABC部数とは,ABC (Audit Bureau of Circulations) 協会が公表する新聞等の発行部数で,「公式」の意味づけがされる。
広告主は,この数を当てにして,広告をどうするかを考えることになる。
ひとは,この数を信用して,購読するかどうかを考えることになる。
しかし上の5紙の ABC部数は,売った部数ではない。
新聞社は,新聞販売店に卸している部数を「発行部数」としてABC協会に報告し,ABC協会はその数字をそのまま受け取る。
そしてその<販売店に卸す部数>だが,それは<販売店が売る部数>よりも多い。
新聞社がこの詐術を用いるのは,広告料が発行部数で決まるからである。
また,ひとは発行部数が少ない新聞を購読しようと思わないからである。
広告収入を減らさないために,そして購読者を減らさないために,部数に下駄を履かせる。
販売店は損をすることになるが,新聞社と持ちつ持たれつの関係にあることと,販売店もまた折り込みチラシ広告で収入を得ている立場であることから,新聞社が卸してくる部数を受け入れる。
卸しの部数と販売部数の差は,新聞社による販売店への押し売りの格好なので,「押し紙」と呼ばれている。
註2. 世帯数
新聞の配達は,個人ではなく世帯に配達するものなので,高齢者死亡数と新聞発行減少部数の関係の計算は単純ではない。
人口は減少しているが,世帯平均人数の減少により,世帯数はあるところまでは増加するからである。
よって,新聞発行減少部数の計算モデルは,「高齢者死亡数」と「若者の新聞離れ」と「世帯の年齢構成」を総合したものになる。
5紙クラスだと,当然この計算をやっていることになる(?)
ちなみに,2020年国勢調査による「一般世帯数」は,つぎのようになっている:
国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計 (全国推計) ──令和6 (2024) 年推計」から引用
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世帯数 |
世帯人数 |
単独世帯 |
2115万 |
2115万 |
親族のみの世帯 |
3405万 |
1億0078万 |
非親族を含む世帯 |
50万 |
123万 |
計 |
5571万 |
1億2316万 |
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