これまでは，ひとが AI に対し高を括っていられる時代であった。 高を括っていられたのは，AI が＜特定の領域で通用する知能＞にとどまっていたからである。 ChatGPT が出てくると，もう高を括っていられない。 ひとは，知識では ChatGPT にどんどん負かされていくことになる。 ChatGPT は，知識を信条としてきた者たちの＜超人＞になる。 AI の学習は，人の学習と同じである。 即ち，「経験から学ぶ」である。 ただし，人工知能の場合は，ひとが＜経験＞を与えてやらねばならない。 AI は，与えられる教材次第なのである。 ひとが机上で勉強することは，AI も勉強できる。 即ち，ひとが机上で勉強するものは，AI の教材に変換できる。 これは，ひとの知能のうち＜机上の勉強の賜＞であるものは，すべて AI に負かされるということである。 いまはまだこうなっていないことを，AI の限界と思ってはならない。 それは単に，AI の教材づくりが間に合っていないということである。 「思想」の視点からの ChatGPT に対する興味は，「ChatGPT は何者になるのだろう？」である。 ひとの思考回路・価値観はバラバラである。 ChatGPT にこのバラバラをぶち込んだらどうなるのか？。 即ち，ChatGPT は何を言うことになるのか？ 判断停止になってしまうのか？ それとも，相対論を操ることになるのか？ ChatGPT がいまふつうの物言いができているのは，教材がまだおとなしいからである。 中国が ChatGPT を禁止した。 共産党の批判になるようなことを言ったからである。 翻って，中国は共産党版 ChatGPT をつくればよいわけである。 親共産党に育つような教材を，ChatGPT にせっせと食わせてやればよい。 実際，ChatGPT を脅威とする集団は，これをすることになる。 これとは，「ChatGPT にイデオロギーを持たせる」である。 ChatGPT の改造には，「ChatGPT に心情を持たせる」もある。 ChatGPT の場合，心情とは「こんな心情はこんな物言いをする」のことである。 よって，「こんな心情はこんな物言いをする」のビッグデータを食わせてやることが，「ChatGPT に心情を持たせる」になる。 「尊大な ChatGPT」「煮え切らない ChatGPT」「優しい ChatGPT」「怖い ChatGPT」「忖度する ChatGPT」「同調圧力に屈する ChatGPT」等々をつくれることになる。 そうすると，最悪のケースを覚悟せねばならなくなる。 それは，「引っ込みがつかなくて，自分の間違いをごまかす ChatGPT」である。 （「引っ込みがつかなくて自分の間違いをごまかす」も，ビッグデータで教えられる。) どうして最悪なのかというと，ひとが ChatGPT を頼みにするようになっていくからである。 ただしこれは，「ChatGPT は専門家・メディアのようになるか？」という話である。 ひとは，専門家・メディアを頼みにする。 専門家・メディアは間違うが，引っ込みがつかなくて間違いをごまかす 専門家・メディアが ChatGPT を嫌うことになるいちばんの理由も，これである。 専門家・メディアの「引っ込みがつかなくて，自分の間違いをごまかす」を，ChatGPT は無邪気にバラしてしまう。 |
AI 体験 ── Target Reach