Up 数学 作成: 2010-03-26
更新: 2010-03-26


    数学は,構成主義を方法論にしています。 すなわち,数学的概念・命題をとことん還元したところから,体系の構築を開始します。

    最も還元したレベルは,形式言語です。 記号と文法を定めるところから,始めます。
    つぎに真理値を導入し,推論規則を定め,出発点にする真理命題 (公理) を定めます。
    以降,推論によって真な命題 (定理) を導き,定義によって新しい概念を導入するという形で,体系の構築が進行します。

    ユークリッドの『原論』は,この構成主義の古典です。
    Bourbaki の『数学原論』は 1930年代に開始された数学テクスト作成プロジェクトですが,構成主義を学ぶのに最良の数学テクストは,以来ずっとこれです。


    数学の構成主義の方法は,数学をある程度専門的にやらないと,身につきません。
    数学の各主題は構成の中に位置づき構築の順番に縛られているのですが,構成主義の方法とこれまで無縁でやってきたひとは,数学を博物学のように見てしまいます。 すなわち,数学の各主題をバラバラに見て,単独に取り出します。
    そしてこんなふうに単独に取り出した主題Aから主題Bを導こうとするときは,決まって循環論法をおかすことになります。

    数学の方法論としての構成主義がわからない限り,循環論法は矯正されません。 そして,矯正されない循環論法は,数学における「モンスター」です。

    一般に,ひとは,経験値の低い領域では,自分の思いつきの理屈で満足する者になります。 この領域で経験値を積むほどに,ひとは自分に懐疑的になり,謙虚になります。
    一見逆のようですが,事実はこの通りです。