Up 「現成公案」の意味 作成: 2010-01-14
更新: 2017-10-08


    「現成公案」の「現成」の意味は,文字通り,「現(うつつ)に成っている」である。
    何が「現に成っている」のか? 「理(ことわり)」である。「真理」の「理」である。

    「公案」とは何か?
    Wikipedia (「公案」) では,つぎのようにある:
     1. 中国で、古代から近世までの役所が発行した文書。調書・裁判記録・判例など。
     2. 上記の意味から派生して、禅宗において、修行者が悟りを開くための課題として与えられる問題のこと。ほとんどが無理会話(むりえわ)と言われている。一般には「禅問答」として知られる。有名な公案として「隻手の声」、「狗子仏性」、「祖師西来意」などがある。近世には一定の数の公案を解かないと住職になれない等、法臘の他に僧侶の経験を表す基準となるなど、幕府の宗教統制にも利用された事は一般に知られているが、安土の宮町衆が説いた『栗の華』六節に記載されていた宗派両断始期に詳しく掲載の物。
    また,つらつら日暮らしWiki〈曹洞宗関連用語集〉(「公案」) では,つぎのようにある:
      「公府の案牘」の略。本来は、取り調べを要する書類の意味であるが、そのことから政府の法令をいう。政府の法令とは、国民にとって厳しく守るべきものであり、遵奉すべき性質を有するが、これを禅の修道上に転用して、仏祖の語句で、参禅者の模範とすべき問題をいう。
    公案の数は概して、千七百則あるとされ、中国唐代から唱道された。古則公案、現成公案などがある。
    なお、臨済宗楊岐派の大慧宗杲が、公案禅を唱え、後の日本の臨済宗でも江戸時代にいたり白隠が出て大成した。‥‥‥
    曹洞宗に於いて、「公案」をどのように扱うかは、常に議論がある。例えば、特に白隠以降は公案禅全盛となった臨済宗妙心寺派などと宗風を区別するために、敢えて公案など用いることはないと主張する者が、師家の一部にいる程である。‥‥‥

    本論考は,以上の「公案」の意味をそのまま受け取る。 そこで,標題「現成公案」の意味は,素直に「公案「現成」──「現成」とは何か?」である。

    実際,テクスト「現成公案」は,「現成」論である。
    「理は現(うつつ)に成っている,理とはそんなふうに存るもののことだ」──これが「現成公案」の主題である。