Up <世直し>の精神構造 作成: 2018-07-28
更新: 2018-07-28


    人間社会の進化は,現在,商品経済体制に至っている。
    進化は,自己組織化する系の合理がその都度実現されているプロセスである。
    したがって,商品経済は合理のはずであり,実際この観点から商品経済を考察すれば,これよりましな体制は無いことがわかる。

    商品経済の共同幻想は「栄達」であるが,これも商品経済の合理を表している。
    実際,この共同幻想は,安全な共同幻想である。
    「安全」とは?
    「栄達」共同幻想を安全と言うとき,対比している危険な共同幻想は,「善」共同幻想である。


    社会でいちばん危ない者は,「善」を立てる者である。
    この者にとって,現前は穢れた世界である。
    この者は,<世直し>を想う。

    この者たちが集団を形成し,勢力をもち,<世直し>を実行しようとしたらどうなるか。
    彼らの想う<世直し>は,成るものではない。
    そこで彼らは,不良分子が<世直し>を妨げていると考える。
    そして,「聖戦」として,大量粛清を開始する。

      例:毛沢東中国の「文化大革命」

    集団が,勢力をもたない集団であって,しかし過激な集団だったらどうなるか。
    彼らの<世直し>は,テロ行動になる。

      例:オーム真理教の「地下鉄サリン事件」

    現前の多くの「善」共同幻想集団は,勢力をもたず,そして順法の集団である。
    しかし,「聖戦」は「目的のためには手段は選ばず」であるから,実質テロ行為と変わらない卑怯な手を使ってくる。



    「善」「世直し (善の実現)」は,科学の素養があれば立てられないものである。
    翻って,「善」を立て「世直し」を立てる者は,科学の素養の無い者である。

    「世直し」を立てる者は,系がネットワークであることを知らない。
    ネットワークは,一点を操作しようとすると全体に影響が及ぶ。
    感染症媒体の蚊を撲滅する技術として「遺伝子ドライブ」がある。
    生物学界は,この技術の使用を禁じている。
    ネットワークとしての「生態系」の考えを持っているからである。
    「世直し」を立てる者には,この考えが無い。
    ネットワークの考えが無いから,「世直し」を立てる。


    もっとも,「世直し」を立てる者は,そもそも《何をどうするか》を考えているわけではない。
    彼らの考えはいたって幼稚である。
    彼らは,「世界が穢れているのは,皆が自分のようではないからだ」という考え方をする。
    彼らの世直しは,「皆を自分のようにする」である。
    即ち,「意識改造」「人間革命」が,彼らの思う世直しである。
    よって,《世界のことに無知でも世直しはできる》となるわけである。

    彼らの組織は,「教団」の趣きになる。
    信者を増やすことが「世直し」ということになるからである。
    員は,自分の無知無力を知っているが,「教祖や高弟に従っていればだいじょうぶ」の想いを以て自分を確立・保持する者である。
    員は,教団の中で合理精神・批判精神を失う。
    これを「洗脳される」と謂う。

    重要なことは,このダイナミクスを,どこかよそのカルト教団のもののように思ってはならないということである。
    リーダーを頂き「世直し」を探求するグループは,ふつうにどこにもあり,そしてそれは大なり小なりこのダイナミクスに支配される。