Up 自由 freedom 作成: 2018-08-21
更新: 2018-11-04


    共同体幻想は,集団を壊さないために個の自由を抑圧する形のものになる。
    共同体幻想は,個を疎外するものとして立つのである。

    個は,共同体幻想に疎外される。
    疎外される個は,「共同体幻想からの自由」を想う。
    ──実際,文学はこれが根底主題である。

    「共同体幻想からの自由」は,論理矛楯である。
    よって,幻想である。
    しかし,ひとは「共同体幻想からの自由」を想わずにはいられない。
    ひとは,メルヘンとして「共同体幻想からの自由」幻想をもつ。


    「共同体幻想からの自由」は,社会的ムーブメントになることはふつうは無い。
    この「自由」はいわば贅沢な自由ということになるからである。
    困窮からの自由が先決問題として現前している──何を甘っちょろいことを!」となるわけである。

    「共同体幻想からの自由」が社会的ムーブメントになるのは,一風変わった時代ということになる。
    それが実際に起こったことがある。
    ヒッピー・ムーブメントである。


    このムーブメントはどんなことになったか。
    ヒッピーは,「自由」をパフォーマンスしようとする。
    「自由」のパフォーマンスを創作する。
    しかし自由は,様式が無いことを以て自由である。
    「自由」をパフォーマンスするというのは,論理矛楯である。

    実際,ヒッピーは,己の様式に縛られる者になる。
    「自由」を求めて,己を不自由にしてしまう。
    かくして,ヒッピー・ムーブメントは,一時のファッションで終わりとなる。