Up 信仰パフォーマンス 作成: 2018-10-16
更新: 2018-10-16


    無宗教の者も,法事では手を合わせる。
    神社仏閣に訪れると,礼拝する。
    「天国」を迷信としていながら,「今頃故人は天国で‥‥」のような物言いをする。


    共同体の員に求められるパフォーマンスのうちに,信仰パフォーマンスがある。
    ひとはこれを,員のマナーとして受け入れる。
    最初は受動的にこれを行い,だんだんと能動的に行うようになる。

    能動的に行うのは,これを抜くと精神が安定しないからである。
    悪いことが起こるような気分になるからである。
    こうなるのは,強迫観念になっているからである。
    身につけたルーチンは,強迫観念になるのである。


    信仰パフォーマンスを強迫観念にした者は,周囲の者にも同じ信仰パフォーマンスを求める。
    《それをしない者はバチがあたる;さらに一蓮托生ということで,みんなにバチがあたるかも知れない》の気分になるからである。
    こうして,信仰パフォーマンスは,代々受け継がれていくことになる。

    この信仰パフォーマンスには,根拠がない。
    実体は,幻想である。
    そして,共同体の員なら身につけねばならない幻想であるから,共同体幻想である。