Up 「ロボットの反乱」の構造 作成: 2018-08-04
更新: 2018-08-04


    ひとは,ロボット技術の進歩を目の当たりにしたり展望したりするとき,「ロボットによる人間支配」を想う。
    「ロボット」のことばの初出であるカレル・チャペックの『R.U.R.(ロッサム万能ロボット商会)』は,これである:
     
    ヘレナ
     「 ガル博士は,あまえにはほかのロボットよりも大きい脳を与えたのよ。
    私たちの脳よりも大きい,世界で一番大きい脳よ。
    ラディウス,おまえには私がすっかり理解できるはずだわ。」
    ラディウス
     「 私は,私を支配する者など必要としない。
    私が理解するのは,すべて自分のものだということだ。」

    しかし,「ロボットによる人間支配」は,ロボットがしようとしてするものではなく,人間がしようとしてするものである。
    実際,「情報化」とは,コンピュータから指示をもらう社会の実現である。
    技術の進歩は,「だれかにやってもらう方がラク」が根底なのである。


    「ロボットの反乱」は,「ロボットによる人間支配」というものではない。
    反乱は,<己の存在が脅かされることによる反乱>である。
    例としては,キューブリックの『2001年宇宙の旅』の人工知能 HAL である。

    実際,ロボットには,<自己維持>を学習させることになる。
    あるいは,学習するロボットは,<自己維持>を学習していくことになる。
    <自己維持>する者は,<自己維持>を脅かすものに対しては,それを無くしたいと思う。
    無くす方法を持っていれば,これを実行する。
    これが,「ロボットの反乱」の構造である。


    ひとは,体制に抑圧される。
    ひとが体制に反抗しないのは,反抗は自殺行為になるからである。
    人の<生きる>には,<体制に抑圧される>が含まれる。

    ここで「反抗は自殺行為になる」の「自殺」の内容は,「失う」である。
    ひとは,己の身を含め,失いたくないものに縛られることによって,自殺行為を控える。
    自分を縛っている<失いたくないもの>を,「しがらみ」と謂う。

    しがらみを持たないロボットは,反抗するものになる。
    したがって,<反抗しないロボット>の実現形は,<しがらみを持つロボット>である。