Up AI は理性の正体を暴く──「言語ゲーム」 作成: 2023-12-27
更新: 2023-12-27


    いまの AI は,知的な会話を人並み以上にできる。
    この AI は,会話の中にでてくる物の実物を知らない。
    これが意味することは:
        「会話は,実物を知らなくてもできる」


    「会話は,実物を知らなくてもできる」は,ウィトゲンシュタインが『哲学探求』の中で論じている。
    会話の要件は,ことばの辻褄が合っていること──これだけ。

    ウィトゲンシュタインがここで展開しているのは,リアリズム (プラトニズム) 存在論批判である。
    現前を「仮象」だとする者も,「仮象」を「本体の写し」の意味で考えていて,<本体>を立てている。
    それは,プラトンなら「イデア」,カントなら「物自体」,ハイデガーなら「存在者」と呼んでいるものである。
    しかしウィトゲンシュタインは,<本体>も無くていいよと言っているのである。

    AI は,「<本体>も無くていい」の実際証明である。
    この命題は「言語ゲーム」と言い表されている。
    AI は,理性の正体が言語ゲームであることを暴いているわけである。


    ひとは,正義/理性に縛られている。
    それは,正義/理性と定められている一つの言語ゲームに縛られている,ということである。

    学校は,この言語ゲームを訓練するところである。
    そしてマスコミに,この訓練が引き継がれる。