Up 「種における個の新陳代謝の方法」 作成: 2015-03-03
更新: 2015-03-03


    生物は,自己保存する系である。
    自己保存のメカニズムは,「新陳代謝」である。
    「古くなったものを新しいものに取り換える」である。

    「新陳代謝」には,つぎの2つがある:
      1. 個の内容物を新しくする新陳代謝 (「代謝」)
      2. 個を新しい個につないでいく新陳代謝 (「増殖」)

    個を新しい個につないでいく新陳代謝の方法は,DNAである。
    (RNAウイルスでは,RNA。)
    個のもつ DNA は,個の生存中変わらない。
    そこで,「DNA からの再出発」が「個の新陳代謝──個の完全リセット」になる。

    翻って,DNA は,これの意義/機能性からして,変わってはならないものである。
    特に,獲得形質は遺伝しない。
    遺伝したら困るのである。

    ひとは,自分が築いた財産を子孫に遺したく思う。
    獲得形質のような無形の財産は,これができないからくやしく思う。
    併せて,何とか遺そうと悪あがきする。
    しかし,財産を子孫に遺そうとするのは個のエゴであって,種全体としては困る事態なのである。
    種としては,リセットするというのが正解である。

    生物は,この正解をやっている。

    ちなみに,「ラマルキズム」は,科学的立場というよりは,資質である。
    財産を遺せることを合理とし,遺せないことを不合理とする資質である。
    ──生物は,財産を遺せることを不合理とし,遺せないことを合理とするものである。