『よくわかる分子生物学の基本としくみ』, pp.32-36
- 有機化合物の中では,炭酸ガスがいちばん酸化されたもので,分子としてもつ固有のエネルギーがいちばん低い。
有機化合物は,炭酸ガスに比べて,還元された物質で,分子として高いエネルギーを持っている。
- 自然界にある炭酸ガスを元にして有機化合物をつくるということは,低エネルギー分子から高エネルギー分子を合成すること。
自然界でしぜんに起きる反応は,エネルギーの高い状態から,エネルギーを出して,エネルギーの低い状態へと変化する発熱反応.。
これに対して,炭酸ガスから有機物をつくる反応は,エネルギーを吸収して進む反応で,吸エネルギー反応(発熱反応)。
- 自然界で炭酸ガスから有機物ができることは,ほとんどない。
- 植物がやっている光合成反応は,炭酸ガスから有機物をつくる反応。
植物は葉緑体という装置をもっていて,これが太陽光のエネルギーを分子に注入する装置として働いて,高いエネルギーを持った有機化合物の分子をつくる。十分に高エネルギー状態になった分子は,発熱反応をしながら有機物をつくっていける。
──反応全体としては吸熱反応だけれども,始めに十分に高いエネルギーをもった高エネルギー分子から出発すれば,その先を発熱反応として進められるというのが,この場合の要点。
- 生物は,エネルギーの高い有機化合物を使って自分の体を作り上げ,それを燃やしてエネルギーを得て,様々な反応を起こしている。
- 有機化合物を自分でつくるのが,植物。
有機物を探して摂るために動く生物が,動物。
- 吸熱反応は,生物の体内でふつうに起きていること。
[──「吸熱反応」は「生物」の含意]
- 吸熱反応を行うことができる効率のよい装置/システムをもっている──あたりまえに備えている──のが,生物。
|