Up 真核生物・多核生物・多細胞生物 作成: 2015-03-02
更新: 2015-03-03


    『よくわかる微生物学の基本としくみ』(高麗寛紀著, 秀和システム, 2013), p.13
    1. 大気中に酸素が存在すると,微生物細胞内に,活性酸素と称される極めて高い細胞毒素を有する過酸化水素 (H2O2) やスーパーオキシドアニオンラジカル (・O2-) などの過酸化物が,生成する。
    2. こうして,酸素が存在する環境下では,嫌気性微生物の多くが死滅した。
    3. しかし,地球上に酸素が出現すると同時に,これらの過酸化物の分解酵素(カタラーゼ:過酸化水素分解酵素,SOD:スーパーオキシドジスムターゼなど)をつくる遺伝子を獲得した微生物が,地上で増殖できるように適応・進化した。
    4. 一方,嫌気性微生物は,酸素の存在しない地下や深海で現在まで生き延びてきた。
    5. 地球表面の酸素濃度に適応した好気性細菌および通性嫌気性菌は,代謝活性がひじょうに活発となり,進化が速くなって,原始細菌から古細菌,真正細菌,さらに真核生物の酵母やカビ,多核生物,多細胞生物が次々と誕生した。


    註.
    真核生物
      真核細胞からなる生物群。
      原核生物に対置される。
      単細胞性または多細胞性で,単細胞生物の一部と,肉眼的に認められる大型の生物のすべてとが,これにあたる。
      (『岩波生物学辞典』)

    真核細胞
      静止核において,核膜に包まれた核(真核 eukaryon) をもつ細胞。
      原核細胞に対置される。
      有糸分裂を行い,核では DNA がヒストンなどの蛋白質とともに染色体の構造をつくり,核内には核小体が見られる。 細胞質内には膜系がよく発達し,小胞体・ゴルジ体・ミトコンドリア・葉緑体・リゾソームなどの細胞小器官が存在し,それぞれ特異的機能を果たす。
      (『岩波生物学辞典』)

『よくわかる微生物学の基本としくみ』(高麗寛紀著, 秀和システム, 2013), p.22
 核  細胞壁  外壁 
原核細胞   真正細菌, 古細菌
 
真核細胞   植物, 真菌
    動物