Up 「分子は認識する」 作成: 2015-03-09
更新: 2015-03-10


    細胞の諸機能を「マシン」に見立てるとき,動作しているものは分子 (特徴的に,タンパク質)である。

    分子の動作は,「傾向性の発現」としてとらえることになる。
    ここで「傾向性」は,「if ‥‥ then ‥‥」である。

    動作を考えるとき,人のクセとして,「動作主体」の考え方をする。
    そしてこれは,分子の動作を考えるときも,そうなる。

    実際,酵素と基質の「鍵と鍵穴」のような分子同士の会合は,ランダムに運動する双方の偶然のフィットというふうには考えられない。
    • ジグソーパズルは,ピースをシェイクしていれば完成する?
    • アリジゴクの巣穴にアリが落ち込むためには,確率的に多数のアリが必要になる。 生体反応は,このような無駄を許して保っているというふうには思えない。
    分子は,餌を探し求める怪獣のように動作するものでなければならない。
    そしてこのときは,分子を動作主体にする方が,ストーリーになりやすい。

    主体になった分子の「if ‥‥ then ‥‥」の動作は,さらに「認識」に見えてくる。
    実際,人も物である。人の認識も,結局は「if ‥‥ then ‥‥」である。 人の認識の「if ‥‥ then ‥‥」と分子の動作の「if ‥‥ then ‥‥」の間に,区別は立たない。

    翻って,分子の動作の「if ‥‥ then ‥‥」に対し「認識」のことばを使うことは,方便を承知の上なら,ありとなる。