Up 分子マシン : 要旨 作成: 2015-03-07
更新: 2015-03-11


    生体は,分子機械の集積である。
    生物進化の過程で,様々な分子機械がつくり出された。

    生体分子機械は,タンパク質や核酸でできている。
    大きさは,数ナノメートル(10億分の1メートル)と小さい (「ナノ分子機械」)。
    しかし,たった1個、1分子で働くことができる。( →「一分子生理学」)

    しかし,分子が動作するとは?
    分子に「主体」は考えにくい。
    「認識」で動いているとは考えにくい。

    動作は,「傾向性の発現」と考えることになる。
    ここで「傾向性」は,「if ‥‥ then ‥‥」である。

    一方,「主体」「認識」も,結局は「傾向性の発現」ということになる。
    とすると,分子に「主体」「認識」を見てもよいわけである。

    実際,酵素と基質の「鍵と鍵穴」のような分子同士の会合は,ランダムに運動する双方の偶然のフィットというふうには考えられない。
    • ジグソーパズルは,ピースをシェイクしていれば完成する?
    • アリジゴクの巣穴にアリが落ち込むためには,確率的に多数のアリが必要になる。 生体反応は,このような無駄を許して保っているというふうには思えない。
    分子は,餌を探し求める怪獣のように動作するものでなければならない。
    即ち,生体分子は高分子であるが,「高分子」に対しては「傾向性の発現 = 自分の餌になるものを探し求める」の含蓄を思い描くことになる。
    そしてこの場合は,「主体」「認識」の表現が似合う。

    こうして,「分子マシン」を立てるときは,分子の「主体」「認識」を方便として立てるようになる。