Up 傾向性の多様性即ちマシンの多様性 作成: 2015-03-07
更新: 2015-03-13


    「分子マシン」というと,「分子ロボット」のようなイメージがもたれやすい。
    しかし,分子の傾向性の発現全般を「分子マシン」ということにしないと,「分子マシン」の概念は立たない。
    「分子ロボット」のような分子マシンもあるが (「分子モーター」),そうでないのもあるということである。
    「分子ロボット」のイメージは,ひろくもたれる必要がある。

    例えば,タンパク質。(「分子マシン」の「分子」は,有機分子であり,とりわけタンパク質である。)
    これには,以下のようなタイプの違いが見られる (「タンパク質」(Wikipedia))。
    そしてこれらはすべて,「分子マシン」として見ていくことになるものである。
    動的と静的に分けたり,特に分子マシン該当とそうでないに分けるというものではない。
    それぞれ分子の傾向性の発現であり,そして傾向性は即ちマシンだからである。
    • 酵素タンパク質
        代謝などの化学反応を起こさせる触媒である酵素。細胞内で情報を伝達する多くの役目も担う。
    • 構造タンパク質
        生体構造を形成するタンパク質:コラーゲン、ケラチンなど
    • 輸送タンパク質
        何かを運ぶ機能を持つ種類で、酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビンや血液中に存在し脂質を運ぶアルブミン、コレステロールを運ぶアポリポタンパク質などが当たる。
    • 貯蔵タンパク質
        栄養の貯蔵に関与するタンパク質であり、卵白中のオボアルブミンや細胞中で鉄イオンを貯蔵するフェリチンやヘモシデリンなどである。
    • 収縮タンパク質
        運動に関与するタンパク質。筋肉を構成する筋原繊維のアクチン、ミオシンなど。細長いフィラメントを構成し、互いが滑りあう事で筋肉の収縮や弛緩を起こす。
    • 防御タンパク質
        免疫機能に関与する種類であり、抗体とも言われる。B細胞によって作られるグロブリンがこれに当たる。
    • 調節タンパク質
        DNAのエンハンサーと結合して遺伝発現を調整するタンパク質や、細胞内でカルシウムを使って他のたんぱく質の働きを調整するカルモジュリンなどが当たる。」