原核細胞 (procaryotic cell)
核膜をもたず,核様体を構成する染色体は1個で有糸分裂を行わない細胞。
真核細胞と対置される。
(『岩波生物学辞典』)
真核細胞
静止核において,核膜に包まれた核(真核 eukaryon) をもつ細胞。
原核細胞に対置される。
有糸分裂を行い,核では DNA がヒストンなどの蛋白質とともに染色体の構造をつくり,核内には核小体が見られる。
細胞質内には膜系がよく発達し,小胞体・ゴルジ体・ミトコンドリア・葉緑体・リゾソームなどの細胞小器官が存在し,それぞれ特異的機能を果たす。
(『岩波生物学辞典』)
『よくわかる微生物学の基本としくみ』, p.22
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核 |
細胞壁 |
外壁 |
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原核細胞 |
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○ |
○ |
真正細菌, 古細菌 |
○ |
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真核細胞 |
○ |
○ |
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植物, 真菌 |
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動物 |
核の機能性
『よくわかる分子生物学の基本としくみ』,
- 「核の役割は,一言でいえば「遺伝子であるDNAの貯蔵場所」です。‥‥
さらに,真核生物のDNAは,長いまま裸でフラフラ浮かんでいるのではなく,タンパク質と結合してクロマチンという太くて短いヒモを形成して,核内にコンパクトに折りたたまれて収納されています。‥‥
こうして,DNAを安定に大量に保てる条件が用意された結果,例えば真核生物であるヒトの細胞は,原核生物である大腸菌の1,000倍のDNAを持つに至った。
真核生物がたくさんのDNAを持てたことは,新しい遺伝子を保持できる余裕となって,多様な展開が可能となる基盤になった」
(p.114)
- 「また,核にはDNAを細胞質から隔離して,保護する役割もあります。
細胞質は活性酸素を産生する危険な場所なんです。
すべての真核生物は,原核生物の多くもそうですが,酸素を消費する高いエネルギー生産方法を獲得した結果,画期的に効率よく活動できるようになった。
反面,酸素からはきわめて有毒な活性酸素が副産物として作られて,それが細胞内の分子を傷つけ,破壊します。
たいていの分子は,同じものがたくさんあるので,まあ少しぐらい傷ついても問題はない。
しかし,DNAが傷つくことは生死に関わる可能性があるので,これは避けたい。‥‥
真核生物では,DNAは核に収納されているうえ,酸素を使うエネルギー産生の場はミトコンドリアというオルガネラに隔離されているので,活性酸素から二重に保護されていることになります。」
(p.114, 115)
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