Up 構造的捉え 作成: 2013-12-30
更新: 2013-12-30


    本論考は,「マルクス主義批判」を行うものである。 一般に,「批判」はつぎが手順になる:
    1. 相手の思想の描く<世界>がどんな構造になるものかを示す。
    2. この構造の無理 (論理矛盾) を示す。
    3. 「無理を通す」の結果を,論理的に導出する。


    1. マルクス主義の世界観
    どの思想も簡明である。
    簡明でない思想は,思想でない。
    簡明でない思想は,雑感・雑念のただの集積である。

    思想の簡明は,文体に現れる。
    ぐちゃぐちゃした文体は,思想が簡明でないことを示し,したがって思想でないことを示す。

    ぐちゃぐちゃの文体を前にしたときは,これを捨てるか,読み手の方でこれをすっきりさせてやるかである。
    すっきりさせるとは,文章を構造化するということである。
    構造にならないときは,最終的に捨てることになる。

    このようにして,マルクス主義を思想として捉えてやる。
    そのときそれは,「疎外されている諸個人の解放」の思想ということになる:
    1. 「解放」の内容は,疎外の構造が無くなることである。
    2. 「疎外」の内容は,「本来<人は道具を使う>であるのが,<人は道具を使わされる> (この意味で<道具が人を使う>) になっている」である。
      これを「転倒」と称し,「転倒」がもとに戻ることを「解放」とする。
    3. <道具が人を使う>にしているものは,資本主義的生産様式である。
      したがって,「解放」の内容は,資本主義的生産様式が無くなることである。
    4. 資本主義的生産様式に替わる生産様式は,共産主義である。
      共産主義社会は,人が他のものに使われることのない社会──自分が自分の主人になる社会──である。

    ここで,「解放」実現の形について,二つの考え方がある:
    1. 資本主義的生産様式の自壊
    2. 資本主義体制打倒の破壊行動 (「革命」)
    本論考が批判しようとする「マルクス主義」は,「解放」実現の形を「革命」とするマルクス主義の方である。


    2. マルクス主義の世界観の無理 (論理矛盾)
    資本主義的生産様式が立っている系は,複雑系である。
    共産主義生産様式が立つは,相対的に著しい単純系である。
    「革命」は,複雑系を単純系に変える行為である。


    3. 「無理を通す」の結果
    複雑系 (大) を単純系 (小) に替えることは,大と小の差分を整理することを含む。
    この整理は,人の整理としては「粛正」「大虐殺」の形で現れ,富の整理としては「困窮化」の形で現れる。