Up おわりに 作成: 2014-01-04
更新: 2014-01-04


    本テクスト『『資本論』早わかり』は,『資本論』が「剰余価値」を定立する段で終わる。
    「商品の交換」から「価値」を構成するところまでが,内容である。

    これは,『資本論』のはじめの部分を触っただけ──残りの厖大な論考の無視──のように見えるかも知れない。

    しかし,構成的論述は,論理を接げなくなったところでオシマイになるものである。 「後は<無理>が続くだけ」と見切り,終わらせるものである。

    しかも,「商品の交換」から「価値」を構成する論も,リアルからまったくかけ離れた空論である。 「価値の規範学」として読むのみのものである。 ──「数学」を読むように読むのみのものである。

    翻って,『資本論』が自分をリアルな経済の理論と読ませたいならば,「商品の交換」から「価値」を構成する論を捨てなければならない。
    しかし,『資本論』は「商品の交換」から「価値」を構成する論をベースにして立つものであり,これを無くすことは自分を無くしてしまうことである。
    『資本論』は,このような無理な構造で自身を立てているテクストなのである。