Up 「剰余価値」 作成: 2014-01-02
更新: 2014-01-02


    『資本論』は,商品生産に対し「価値生成」の捉え方をしようとする。
    それは,以下のような具合になる。

    生産を,「商品x1, x2, ‥‥, xn に,人が労働wを以て作用し,商品yをつくる」で考える。
    yには生産に要した経費に利益を上乗せした価格をつけることになるが,このことを「価値」の関係に解釈する:
    1. 「生産に要した経費」に対する「価値」の解釈は, [x1] + [x2] + ‥‥ + [xn] + [w]
    2. 「商品yの価格」に対する「価値」の解釈は, [y]
    3. そこで, 「利益」に対する「価値」の解釈は, [y] − ( [x1] + [x2] + ‥‥ + [xn] + [w] )
    『資本論』は, [y] − ( [x1] + [x2] + ‥‥ + [xn] + [w] ) を「剰余価値」と呼んで,つぎに「剰余価値はどこからきたのか?」という問題の立て方をする。

    『資本論』の価値論は,「価値」の規範学を立てるものであり,「剰余価値」はこの規範学の内容である。 特に, 「剰余価値」は観念論である。
    しかし,『資本論』の価値論は,「剰余価値」をリアルに立てるところにその真骨頂を見ることになるものである。
    『資本論』において,「剰余価値はどこからきたのか?」はリアルな問題である。

    『資本論』は,この問題に対しつぎのような答え方をつくるものである:
        「労働は,特殊な価値である」
    そしてこの段になると,論理を接ぐことが不可能になってくる。
    即ち,ここに「価値の規範学」は終わる。

    なお,「剰余価値」は,搾取論 (「剰余価値は資本家の搾取分──労働者は搾取されている」) につながり,そしてこの流れで,共産主義につながっていくわけである。