Up 「疎外」 作成: 2013-12-29
更新: 2014-01-02


    マルクス主義は,「資本主義的生産様式が自己疎外になっている諸個人の解放」を謳うイデオロギーである。
    ここで「疎外」であるとするものは:
      《自分の在り様が,資本家の利潤達成のシステムに埋め込まれる
      ──商品・金(かね) に支配される,「道具を使う」ではなく「道具を使わされる=道具に使われる」》
    そしてこれを,人の本来の在り方がひっくり返ったものということで,「転倒」と表現する。

    「疎外」「転倒」は,「正す」を含蓄する表現である。
    「疎外」「転倒」は,「解放」を展望するところの表現である。
    翻って,「正す」「解放」を考えない物事には,「疎外」「転倒」のことばは用いない。

    実際,個は,個であると同時に,個が生かされている系 (「生態系」) のノードである。
    自由であると同時に支配されている。
    これを個の必然の在り方と見なすとき,「疎外」「転倒」のことばは用いない。

    そこで,これに「疎外」「転倒」のことばを用い,そして生態系の管理を「解放」の形にするところのマルクス主義は,「個・生態系」の考え方として極めて独特なものだということになる。
    実際,マルクス主義では,「社会的」と自分がとらえるものは,先ずは「個の転倒した在り方」の見方で捉えられないか考えてみようとするところとなる。