Up ニーチェ 作成: 2010-12-30
更新: 2010-12-30


    人は,自然・生活・カラダで生かされている。
    しかし人は,想念を紡いでこれを世界に見なす。
    自然・生活・カラダという豊かな系に比して圧倒的に貧しく些末で不細工なのがこの想念なのであるが,人は自然・生活・カラダを見ることができないで想念の方を世界にする。
    そして己や周りをこの想念に従わせようとする。

    その想念は,特に,理想主義・進歩主義である。
    理想主義・進歩主義は,現前の意味・価値が考えにのぼらない幼稚の様である。
    幼稚な考えのやることは幼稚なことであるが,その幼稚は愚劣と同じことになる。
    理想主義・進歩主義は,愚劣の蔓延になる。

    そこで理想主義・進歩主義に対する批判となるわけであるが,ニーチェのつぎのことばもこの趣旨で読めばよい:

    これまで世人は,かれらが理想的世界なるものを捏造した度合いに応じて,この現実の世界から,それのもつ価値,意味,真実性を奪っていたのだ‥‥
    理想という嘘が,これまで現実の世界にかけられた呪いであったのだ。
    人類そのものが,この嘘によって,その本能の奥底に至るまで,うそつきになり,にせものになってしまったのだ
    『この人を見よ』(手塚富雄訳,岩波文庫, 1969)