Up 哲学の終焉 作成: 2017-09-21
更新: 2017-09-25


    哲学をやるとは,存在論をやることである。
    ところで,存在論を本分とするものには,科学がある。
    哲学と科学とはどんな関係になっているのか?

    存在に対する科学的アプローチを持てなかった時代には,没科学的に存在にアプローチするしかなかった。
    これが哲学である。
    科学は発達する。
    科学の発達は,哲学が領分を失っていくことである。

    実際,科学の存在論的補足をする役割は,既に哲学ではない。
    「科学論」が,この役割を担うものになっている。
    ここで科学論と哲学の違いは,科学論はあくまでも科学を立場/方法論にするということである。
    したがってこの場合,哲学は超越論 (「形而上学」) として残るしかない。
    しかし,科学が宇宙論から素粒子論まで覆ってしまったいま,哲学の超越論はもう出る幕がない。

    哲学は,既に終焉している。
    哲学がいまも続いているかのように思われているとしたら,それは,哲学が既に終焉していることを見ないようにしているためである。
    いまの「哲学」には,哲学の歴史を話題にすること (文献学/訓詁学) しか,やれることが残っていない。

      もっとも,文献学/訓詁学は「哲学者」にとって不足はない。延々とやっていられるからである。