Up 波動方程式のiの意味 作成: 2019-08-24
更新: 2019-08-24


    シュレーディンガー方程式 \[ \big( i \hbar \frac {\partial} {\partial t} \big) \, \psi = \big( \frac {1} {2m} \big( - \hbar^2 \frac {\partial^2}{\partial x^2} \big) \big) \, \psi \] には,\( {\it i} \) が含まれている。
    複素数のことを「虚の数──2次方程式がつねに解をもてるよう無理やり導入した数」と学校で教えられた者は,この \( {\it i} \) に躓くことになる。

    「数」は,「ベクトルのスカラー」がこれの意味である:
      直線ベクトルのスカラーが,実数
      平面ベクトルのスカラーが,複素数
      空間ベクトルのスカラーが,四元数
      ──といったぐあい。
    そこで,シュレーディンガー方程式の \( {\it i} \) は,探究の対象に潜在する2次元実ベクトル空間構造を示唆していることになる。


    \( \psi \) (「波動関数」) は, \[ \psi (x, t) = cos \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big) + i \, sin \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big) \] がこれの最も簡単な解であり,そしてこれは, \[ \qquad \frac {px - Et}{\hbar} \; [ラジアン] \] の回転である。


    3次元空間におけるシュレーディンガー方程式は,つぎのようになる: \[ \big( i \hbar \frac {\partial} {\partial t} \big) \, \psi = \big( \frac {1} {2m} \big( - \hbar^2 \big( \frac {\partial^2}{\partial x^2} + \frac {\partial^2}{\partial y^2} + \frac {\partial^2}{\partial z^2} \big) \big) \big) \, \psi \]
    \( \psi \) に対しては,ボルンの「<存在確率>密度」解釈が成り立つ:
      \( t \) を固定したとき,\( (x, y, z) \) の近傍の微小体積 (直方体) \( dV = dx \,dy \,dx \) 内に粒子が見出される確率は
        \( | \psi (x, y, z, t) |^2 \; dx \,dy \,dx \)

    \( (x, t )\) 変数の \[ \psi (x, t) = cos \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big) + i \, sin \big( \frac {p}{\hbar} x - \frac {E}{\hbar} t \big) \] だと,「\(t\) を固定したときの \( x \) における<存在確率>密度」になるが,これはつねに1である: \[ \quad | \psi (x, t) |^2 = 1 \]
    そこで波動関数 \( \psi \) に対する見方であるが,これは<存在位相>ということになる。 ──絶対値2乗が<存在確率>密度になるところの,<存在位相>。