Up 類概念──時間不覚 作成: 2019-07-11
更新: 2019-07-11


    DNA解析の技術が得られたことで,生物のこれまでの分類が日々改められている。
    特に,系統樹が「分類」の絵図になった:

    系統樹の縦線は,一つの種がずっと続いて今に至っていることを意味するのではない。
    つぎのことを意味している:
      《この間に無数の枝分かれがある。
       そして一つを除いて全てが絶滅した。》

    系統樹は,種の<無常>を示している。
    そしてそれは,「分類」の「類」がそもそも立たないことを示している。


    一般に,時間が入ると類は立たなくなる。
    翻って,類を立てるのは時間不覚の(てい)である。
    認識論は,この体である。

    存在論と認識論の差は,<時間の覚え>にある。
    時間に覚えのある存在論は,類概念を却けることになる。
    その論述は類概念を使うことになる──単語は類概念を指すものだから──が,存在論はこれを<方便>と達観する。