Up 論述スタイル 作成: 2019-07-10
更新: 2019-07-10


    論述は,長くなる。
    長くしてしまうのは,誤読の余地を無くそうとするためである。
    しかし大部になると,ひとの読むものではなくなる。
    肝要は,バランスである。

    ただのカットは,不足をつくることである。
    バランスを考えるとは,論述を短くできるスタイルを考えるということである。


    論述を短くする手法に二つある。
    「論理」と「アナロジー」である。

    論述は,論理的にすると,定言の含意は「言わずもがな」になる。
    この「言わずもがな」を言わないようにすれば,論述は短くなる。

      数学のテクストがひどくそっけないのは,「言わずもがな」を言わないようにするからである。
      数学のテクストがひどく読みにくい (「難しい」) のは,「言わずもがな」は「自明」とイコールではないからである。
      実際,数学者が「明らか」のことばを使うときは,たいてい証明が厄介なときである。

    アナロジーにAを用いることは,Aの含蓄をそっくり用いることである。
    その含蓄は大きい。
    この大きな内容の記述が,「A」と言って済ませられる。
    こうして,アナロジーを用いることは論述が短くなることである。

    ただし,《「A」と言えば済む》は,読み手に通じるものではない。
    そこで書き手は,Aひとつではなく,Aと同型とおぼしきB, C, ‥‥‥ を用いる。
    この方法を,パラフレーズという。

      「昆虫」とは何かをひとに教えようとすれば,多様な昆虫をサンプルとして用意することになる。
      一匹の昆虫では,相手に伝わらない。
      パラフレーズの考えは,これである。


    かくして,論述スタイルはつぎの二つになる:
    1. 理詰め
    2. パラフレーズ

    理詰めとパラフレーズは,論述の受け手をコンピュータを見立てたときの
      《フォンノイマン型コンピュータに,判断アルゴリズムを喰わせる》
      《ニューロコンピュータに,ビッグデータを喰わせる》
    がそれぞれ比喩になる。

    理詰め・パラフレーズのどちらを択るかは,<主題に応じて>ということになる。